2007年の放送開始から今年の春で15周年を迎えたNHKの番組「SONGS」(総合、木曜午後10時)。時間帯を含めて、変遷を重ねながらも、そのタイトル通り、各アーティストの「楽曲」への思いを長年にわたって大切にしてきた音楽番組だ。同番組で2018年5月から“責任者”を務めているのが、俳優の大泉洋さん。「NHK紅白歌合戦」で、2年連続で司会に抜てきされるなど、いまや「SONGS」のみならず「NHKの音楽番組の顔」となった大泉さんのすごさとは? 制作統括の篠原伸介チーフプロデューサー(CP)に話を聞いた。
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「SONGS」は毎回、ワンアーティストにフォーカスを当て、魅力を深掘りすることで、「楽曲の意味合いや味わいがさらに増すように」と考えられ、制作されてきた。大泉さんが“責任者”を務めるようになってから、5月で5年目を迎えたが、ゲストアーティストとのトークは番組の「看板」で、大泉さんの存在感は増すばかりだ。
篠原CPは「“責任者”って、何か不思議な響きで、『それってプロデューサーなんじゃないか』という意見もあると思うのですが、司会じゃないっていう独特の立ち位置、役割には自覚的で、主体的に番組に関わってくださっています」と明かす。
トーク前の打ち合わせでも、台本を熟読した上で、いろいろな質問を投げかけてくるといい、「アーティストを描くにあたって、そこが気になりますかって感じで、すごく本質をついてらっしゃる」と篠原CPは感心する。
また、収録が始まってしまえばカンペも出さないほど、打ち合わせで思いを伝えたら、あとは責任をもって引き受けてくれるのが、“責任者・大泉洋”だといい、だからこそ、「撮れ高は台本を超えてくる」という。
「編集室で『ありがたいな』って思いながら編集していますし、そういった意味でも、司会というよりも責任者。今はスタジオトークの比重の大きい『SONGS』は、大泉さんだから成り立っているし、大泉さんだからこそ、アーティストも見せない顔を見せてくれたりもする」と感謝する。
大泉さんは放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)に源頼朝役で出演。頼朝の数々の(視聴者にとって好ましくない)所業から、「大泉のせい」というワードがSNSをにぎわせている。もちろん、ドラマはフィクションで、比べようがないが、「SONGS」では“大泉のおかげ”を感じることも多いといい、その「すごさ」はトークの「打率の高さ(撮れ高)」に表れているという。
「番組収録では、大泉さんがその時に感じたことをお話しされていて、実際に編集していると、そういうところこそが面白い。台本通りに質問していったからといって面白くなるかというと、決してそんなことはなくて、そこは大泉さんもよく分かっていらっしゃる。だからこそ、こちらの想像を超えてくるし、後から、『台本通り進んだ部分って、どこまであったんだろう』とよく思ったりもします」と驚きを語っていた。
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