宇都宮競輪GⅢ「開設73周年記念 宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦」が22日、最終日を開催する。注目の決勝12Rの九州勢は準決11Rの並びそのままに中川誠一郎(42=熊本)―中本匠栄(35=熊本)―坂本健太郎(41=福岡)で挑む。

 その準決は、中川のけたたましいパワーが久々にうなりをあげた。寄る年波には勝てず、勢いも気持ちも萎え気味の中、なぜか鐘過ぎから先行してしまった。

「古性(優作)君が先に切るとは思わなかった。切った時点で8、9割は先行だなと腹をくくりました。逃げたくないわけじゃないけど、逃げることになったら逃げるんです」と誰にも分からぬ謎のスイッチが入ったようで「駆けてからは〝ワッキー(脇本雄太)スタイル〟でしっかりシッティングから踏み上げました」と仲のいい友人の名前を出してご満悦。また、20日の松山FⅠ初日特選で逃げ切り勝ちを決めた盟友の荒井崇博(44=佐賀)にも刺激を受け、はつらつプレーに嫉妬していたようだ。

 まだまだ現役だと言わんばかりの逃走劇は、坂本に言わせると「GP王者(古性)とスピード自慢(坂井洋)をまくらせないなんてありえない。九州は荒井さんと誠一郎さんみたいなおじさんが、いつまでも強いから周りはかなわないんです」と脱帽するものだった。

 坂本も元気よく勝ち上がり「準決はこっそり1着を取りに行ったがダメだった」と笑わせ、中本も「誠一郎サマサマです。いい決勝にしたい」と団結。3人で息を合わせて決めポーズを取ると、昭和の風が静かに吹いた。