師匠はどう見たのか――。大相撲夏場所千秋楽(22日、東京・両国国技館)、横綱照ノ富士(30=伊勢ヶ浜)が大関御嶽海(29=出羽海)を寄り切って、12勝3敗で3場所ぶり7度目の優勝。師匠で審判部長の伊勢ヶ浜親方(61=元横綱旭富士)は「変に気負わずにいつも通り一番一番取るという感じで相撲を取っていたんじゃないか」と振り返った。

 休場明けの今場所、横綱は初日に黒星を喫して中日までに3敗と苦しんだ。優勝インタビューで場所前の調整を「飛ばし過ぎた」と話していたように、伊勢ヶ浜親方は「体調は万全ではなかった」と指摘。そうした中、弟子には「もうちょっと前さばきを早くしたり、いろんなことを考えて相撲を取るようにと。もっと早く前に当たれとか、あごを上げないようにとか、そういう助言はした」と言葉を掛けていた。

 古傷のヒザに不安を抱える照ノ富士。師匠は「(稽古は)今も思いきりできない。やれることをやっているだけ」とした上で「痛みは本人にしか分からないので強制的にやらせることもない。本人がやれることをやるしかないという感じだった」と現状を明かす。

 それでも徐々に感覚を取り戻して逆転Vを果たし、師匠は「もともと(横綱としての)責任があるから、体調が万全じゃなくても出てきている。そんな中でも12勝したということは価値のある優勝だったと思う」とねぎらった。