大相撲夏場所で3場所ぶり7度目の優勝を果たした横綱照ノ富士(30=伊勢ヶ浜)が、不本意な結果に終わった大関陣について言及した。

 逆転Vから一夜明けた23日はオンラインで会見を行った。3月の春場所で昇進後初めて途中休場し、賜杯奪還に燃えていた横綱は「優勝しなくちゃいけないという立場で臨んだので、成し遂げたという部分ではホッとしています」と率直な感想。一方で「苦しいことを苦しいと思っちゃえば、ずっとそのままなので。苦しいと思わないことを心がけていますから。特に復活どうこうという思いはないですね」とも付け加えた。

 こうして照ノ富士が綱の威厳を示したが、今場所は大関陣の不振も目立った。

 御嶽海(出羽海)、正代(時津風)が負け越し、貴景勝(常盤山)が千秋楽でようやく勝ち越しを決めた。3大関が来場所カド番という前代未聞の事態は避けられたものの、伊勢ヶ浜審判部長(元横綱旭富士)は「(3人とも優勝争いに絡めず)本人たちが恥ずかしいんじゃないですか」とバッサリ。多くのファンからもため息が漏れた。

 そうした中、横綱は「そういうことはやっぱり言われても、やっている人にしかわからないことですから」とした上で「いいときも悪いときもありますし。だからといって、いいときに褒めて悪いときに叩いちゃうのはよくはないと思うので。悪いときでこそ応援してくれるのがファンであって。誰でもそういう時期はあると思う」と持論を展開した。

 ただし、横綱自身は「だからといって俺がやるとかいうより、一日一日自分の中で戦いがあったわけですから、特に深くは考えてないですけどね」と、周囲の状況よりも一日一番に集中していた。

 名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)では横綱はもちろんのこと大関陣もV争いに加わるしかない。