女性委員の見解は――。日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)の定例会合が23日、東京・両国国技館で開かれ、新たに就任した池坊保子委員(元文部科学副大臣)、紺野美沙子委員(俳優)が初出席した。女性の横審委員は内館牧子氏(脚本家)以来で、2人が同時に務めるのは初めて。

 池坊委員は夏場所で3場所ぶり7度目の優勝を果たした横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)について「横綱はどうあるべきかという責務だけで頑張った。彼の〝相撲魂〟を大関も関脇も見習ってほしい」と奮闘をたたえた。一方で、優勝争いに絡むことができなかった大関陣には「大関は本当は横綱予備軍。正直に言ってお粗末だった。もっと〝大関とはどうあるべきか〟という精神的なことに思いをはせてほしい。(大関は)責務というものを考えてほしい。それが今、一番欠けている」と苦言を呈した。

 また、池坊委員はコロナ対策の規則違反(不要不急の外出禁止)で大関から幕下に転落した朝乃山(高砂)についても言及。「朝乃山さん、彼はすごい能力もある。若いから遊びに行きたい気持ちもある。まずその前に、自分の置かれている立場、相撲がどれだけ多くの国民に力を与えているかということを考えてほしい」と厳しく指摘した。

 紺野委員は優勝した照ノ富士について「休場明けの体調が万全でない中で徐々に調子を上げられて、千秋楽で優勝して横綱の責務を果たされた。無事に横綱が締めてくれてよかったと心から思います」と絶賛。大関陣の低迷には「本人が一番、じくじたる思いだと思う。あまり責めたら、かわいそうだなと思ってしまいます」と同情的だった。