2020年5月に急死した木村花さんのメモリアルマッチ「バグース!」が23日に東京・後楽園ホールで開催された。

 花さんの命日に行われたこの日の大会には、ゆかりのあるレスラーが多数参戦。メインイベントでは、花さんの古巣であるスターダムのワールド王者・朱里が、朱崇花とのシングルマッチに勝利した。全試合終了後にはビジョンで花さんの軌跡を振り返るVTRが流され、大会出場がかなわなかった多くのレスラーも大会名「バグース!」(インドネシア語で最高の意)を叫んで思いを届けた。

 母・響子さんも花さんの盟友・ジャングル叫女のエキシビション戦の相手に指名され一夜限りのリング復帰を果たした。引退した2017年1月以来、約5年4か月ぶりのリングで花さんの得意技だったビッグブーツを連発して会場を沸かせた。

 大会を終え、響子さんは主催者として「みんなそれぞれのバグースを見せてもらって。ここまで来るのがすごく大変で。今年も無事終わって、ありがとうございました」と総括した。昨年に引き続き2度目の開催となったが、来年以降に関しては「ノープランというか、今日終わった時点で来年もって言えるほど簡単なものじゃないので」と語るにとどまった。

 一夜限りのリング復帰については「花の代わりみたいなもんですよ。やっぱり叫女も試合ができなくて、いろいろな思いをすごいため込んでたと思うんですよ。それをぶつける場所を求めたと思うし。私も私でこの2年間、ずっと感情を閉じ込めないといろんなことをやってこれなかったから。こんなに大声出したの初めてです、この2年間で」と説明。

「試合中って自由じゃないですか。自由ってこの2年間なかったから。もしかしたら、これは叫女と花がくれた私へのギフトなのかもしれないなって終わったあと思ったんですけど…今は首が痛すぎてヤバいです」と苦笑した。

 試合中に繰り出したビッグブーツは、自然と足が出ていたという。「花と気持ちとフュージョンするような…。もっと試合がいっぱいしたかっただろうなという思いで(戦った)」と振り返った。

 花さんの死を受け、響子さんはSNS上での誹謗中傷などに対する啓発活動を行っている。この日の大会を経て「今一度、戦う気力というのをもらえた」と、誓いを新たにしていた。