ついに「闘将」に並んだ。巨人は24日のオリックスとの交流戦(東京ドーム)を4―2で制し、連敗を2で止めた。これで原辰徳監督(63)は監督通算1181勝となり、故星野仙一氏に並んで歴代10位タイとなった。3度の日本一に9度のリーグ優勝。球団記録も更新し続ける熟練指揮官が〝名将〟となり得た背景には采配だけでなく、変わらぬ髪形にも秘密が隠されている。

 久しぶりに投打がかみ合った。4回に主砲・岡本和に10試合ぶりとなる豪快な先制13号2ランが飛び出し、同点で迎えた8回にウォーカーが左前へ決勝適時打。9回は守護神・大勢がきっちりと無失点で締めた。

 交流戦で白星発進を決めるとともに、原監督は偉大な先人に肩を並べた。中日、阪神、楽天で指揮を執った星野氏の監督勝利数に並び、いよいよ歴代10傑入りした。原監督は「(星野氏は)尊敬する指導者であり、尊敬する先輩であり、尊敬する人間であったというところですね。僕が今日並んだ…まあ、並ぶに値するものではないよ」と謙遜した。

 指揮官にとっては特別な存在だ。原監督は2002年の監督就任1年目で日本一に輝いたが、翌03年に成績不振で辞任。同年10月の甲子園で異例の退任セレモニーが行われ、当時阪神の監督だった星野氏に抱き寄せられた。「くじけるな。もう一度、勉強して戻って来い」。熱すぎる闘将のメッセージに目頭を熱くした。

 時は流れ、13年の日本シリーズでは楽天の監督となった星野氏と激闘を繰り広げた。3勝3敗で迎えた第7戦で敗れ、悔しさに打ちひしがれながらも不思議な感情がわき上がった。「星野さんの胴上げを見て、心の中で拍手を送った」(原監督)。

 そんな星野氏の記録を塗り替えるのは時間の問題だ。今季で通算16年目。これほどまでの勝利を積み上げられたのは、日々進化を続ける采配によるものが大きいだろう。ただ、その一方では〝変わらぬもの〟ものある。

 原監督といえば、常にさわやかな短髪で整え、ヘアスタイルが変わることはまずない。実はこれにもしっかりとした理由があるという。

「ここがあると、何か頭がボーッとなるような気がするんだよ」。原監督が「ここ」と指し示したのは両サイドの頭髪のこと。試合中はまさに「勝負の鬼」と化し、頭の中は湯気を上げんばかりに〝沸騰状態〟となる。試合直後の顔面は紅潮し、目も真っ赤に充血しているのが常。そんな中で冷静さを失わないために、本人の感覚的にはサイドを短く刈り上げておく必要があるというわけだ。

 この日の采配も冴えた。同点の8回は相手3番手・ビドルの連続四球で無死一、二塁。ウォーカーの打席で犠打ではなく〝強攻策〟を選択したことが奏功した。「投手がストライクを取ることに一生懸命になっているように見えた。だから力勝負をしようと」。カッカしながらも、どこかに冷静さを――。勝負である以上、采配が裏目に出ることはあるが、変わらぬヘアスタイルも決して無関係ではない。