絶対エースに過渡期が訪れたのか…。巨人は26日のオリックス戦(東京ドーム)に2―3で惜敗。打線にもあと一本が出なかったが、先発した菅野智之(32)もピリッとしなかった。6回3失点ながら毎回の7安打を許して4敗目。リーグ1位タイの5勝をマークしているものの、球団内からは今季の右腕の投球内容に〝異変〟を感じ取る声も上がっている。

 終盤に訪れた最大の見せ場は、G党の大きなため息に変わった。8回に1点差に追い上げ、なおも二死二、三塁の絶好機。しかし、2戦連発で復調気配を漂わせていた主砲・岡本和のバットが空を切り、空振り三振に倒れた。9回も三者凡退で抑えられたものの、試合全体を重苦しくしたのは菅野の投球だった。

 5回まで毎回先頭打者を出塁させ、初回と3回と5回に1点ずつ失点。適時打は浴びず、犠飛2本と内野ゴロの間の失点だったが、先制を許した初回の守備だけで20分近くを要した。試合後の原監督は「よく3失点で抑えたなという。内容がちょっと悪すぎましたね。こっちのリズムにならなかったね」と苦言を呈すと「それでいいんじゃない?」と右腕に関する話題を打ち切った。

 その一方で、桑田投手チーフコーチは「シーズンでずっと調子がいいということはないので、こういう調子が悪い時にいかに粘れるか。そういった意味では6回3失点。試合はつくったということで、僕は非常に菅野は頑張ったなと思います」とフォローを入れた。

 ここまで9試合に先発し、リーグトップタイの5勝を挙げている一方で4敗目を喫して防御率3・19の成績。そして、今季の投球内容には首をかしげる球団OBも少なくない。

「直球も変化球もなかなかストライクゾーンに入れない。ゾーンの四隅のギリギリのところを狙って投げてカウントを悪くして、どんどん球数がかさむパターンが少なくない。直球のスピードも以前のように150キロの中盤が出るわけではなくなってきているし、ゾーンに投げ込んで勝負できるような球威もなくなってきているのかもしれない」

 もちろん走者を背負っての投球が続き、慎重に慎重を期すのはやむを得ないだろう。この日は6回まで91球を投じて降板したが、右腕の代名詞だった「完投」や「完封」はゼロ。故障に泣かされた昨季からの復権を期す菅野は「200投球回」と「10完投」など大きな目標を掲げているのだが…。

 降板後の菅野は「コンディションを整えて、次の登板に向けて頑張ります」とだけコメントした。極太の大黒柱としてチームを支え、プロ通算112勝。今季で10年目を迎え、10月に33歳となる菅野は再び無双エースに返り咲けるのか――。