これぞ4番の仕事だ。阪神・佐藤輝明内野手(23)が27日のロッテ戦(ZOZOマリン)で、9回に値千金の11号決勝弾を放ち、チームを1―0勝利に導いた。

 ロッテ先発・佐々木朗との注目の対決は「真っすぐ、フォーク…すごいピッチャーでした」と3打数2三振。得点圏に2度走者を置いた場面で、いずれも凡退を繰り返すなど悔しさを味わった虎の主砲だが、最終盤に真骨頂を発揮した。

 両軍無得点で迎えた9回一死、ロッテの守護神・益田のシンカーを中堅バックスクリーンへ運ぶ11号。「しっかり長打を打つのが僕に求められていることだと思うので」とたまった鬱憤を土壇場で晴らす一撃だ。

 4番のひと振りで挙げた〝虎の子〟の1点を守り切った矢野燿大監督(53)は、若き主砲がさらに一皮むける予感を抱いたという。「ずっとアイツにチャンスで回ってきて(走者を本塁に)返せないというのが続いていた。うれしそうなああいう感じは、あんまりなかったと思う。責任を感じている部分と、そこで打てた喜びというのがあったんかな」。

 首位・ヤクルトが勝利し、阪神は「勝利」以外は自力V消滅の可能性があった一戦。深刻な得点力不足は相変わらずだが、4番の一発でギリギリ踏みとどまってみせた。