歌手矢沢永吉(72)が27日、東京・国立競技場でデビュー50周年記念全国ツアー「MY WAY」の初日を迎えた。19年11月に改修を終えた同競技場での有観客公演は初めて。

午後6時すぎ。気温30度、湿度76%の厳しい残暑の中、反骨のロックスター矢沢が登場。「ロックンロール! カモンカモン!」。両手を広げて総立ちの約6万人をあおると「苦い雨」でメモリアルライブがスタートした。

鍛え抜かれた胸筋を半袖シャツに包み、何度も両手を広げてファンを鼓舞。スタンドマイクを手に何度もシャウトし、ステージ上空に花火をぶち上げ、20本の火炎も昇らせステージを一層熱くした。

「皆さん、やっと今日の日が来ました。こんなオヤジに夏の野外ライブをやらせてくれてありがとう。50年、本当にありがとう」。初日を迎えた喜びを率直に語り、「アリよさらば」など600以上の自作曲から選りすぐったナンバーを畳み掛け続けた。高級車キャデラックで会場を1周すると、ファンの熱気はさらにヒートアップした。

後半では初共演となるゲストMISIA(44)を「日本の最高の歌姫と歌います」と紹介。「HEY YOU」で熱く声を合わせた。MISIAは「50周年おめでとうございます」。矢沢は「MISIAに拍手、ヨロシク」と会場に呼びかけた後で「歌、うまいよね。最高です。感動しちゃった」と感謝の言葉を送った。

「矢沢、50年、やれると思っていなかったよ。本当にありがとう」。ファンへの感謝の言葉を何度も語り、「逃亡者」「いつの日か」などのヒット曲を続けた約2時間半のラストを飾った曲は「止まらないHa~Ha」。コロナ禍でファンが自粛していたタオル投げを解禁し”スポーツの聖地”に無数の「YAZAWAタオル」が舞った。

72年にロックバンド、キャロルのボーカルとしてデビューして50年。9月14日に73歳を迎えるが、まだまだ歩みを止めるつもりはない。最高の汗をかいた後で、納得の笑顔とともに漏らした言葉が「ビール飲みたいよ」だった。

ツアーは28日も同所で、9月18日に福岡、同25日に大阪で計4公演を行う。【松本久】

◆国立競技場 1958年(昭33)3月、アジア競技大会のメイン会場として完成。64年に東京五輪のためにスタンドの増築、聖火台の移設など大幅な改修が行われた。サッカーやラグビーの試合などでも使用。20年夏に予定された東京五輪開催に伴い建て替えられ、19年11月に完成した。改修後の音楽イベントとしては20年11月3日に嵐が無観客で行ったライブを配信(事前収録)。これが単独の音楽公演としての初開催だった。観客席は約6万8000席、地上5階地下2階。

<矢沢ライブアラカルト>

▼75年 初のソロコンサートツアー

▼77年 日本人ロック歌手で初の日本武道館公演

▼78年 後楽園球場で5万人ライブ

▼88年 初の東京ドーム公演

▼97年 英国でプレスリー没後20年の記念ライブに唯一の日本人として参加。

▼99年 初の米国コンサートツアー

▼07年 武道館公演100回を達成

▼09年 東京ドーム公演 ▼15年 インターネットライブを配信

▼20年 コロナ禍で全公演が中止に

▼21年10月 19年以来、1年10カ月ぶりのライブツアー開催

▼21年12月21日 武道館公演146回を達成。ソロアーティストの最多記録を更新。単独での有観客ライブは同25日の横浜アリーナ公演が最後。