歌手・俳優の中村雅俊(71)が今秋、新たなオーケストラ公演「billboard classics 中村雅俊 Symphonic Live 2022 ~HARVEST~」全国4都市ツアーを開催する。2年連続のフルオーケストラ共演。意気込みや見どころを聞いた。

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-コロナ禍で去年に続き2回目のフルオーケストラ公演

中村 「ふれあい」という曲を48年くらい前に出して、気分を良くして。その時からコンサートツアーをやってきた。コロナの感染拡大が始まる前までずっと。一昨年は会場も決まってたんですが、やるかやらないかで、結局やめざるをえなかった。結構リスクもあったので。一昨年の段階で翌年春には収まるだろうと思っていたんですが、そうはいかなかったですね。またコンサートも無くなって、と思っていたら、昨年の夏にビルボードライブを、秋にクラシックスをやらせてもらった。うれしかったですね。ただ、いつものバンドメンバーじゃないので音楽的に不安な思いもありました。4人ですよ、バンドはね。でもクラシックスは60人以上ですから。

-フルオーケストラで歌う気持ちは

中村 それはもう気持ちがいい。腕のある優秀なエキスパートの方達が60人以上ですからね。出てくる音楽も、そりゃあもう大変な。本番の前日、前々日のリハーサルで譜面をもらってすぐできちゃう。あのすごさというか。

-不安や苦労した部分などは

中村 最初はドラムがないことですね。リズムがはっきりした物がないので、早く歌ってしまったり、遅くなったりするという心配はありましたね

-今年の内容について構想などは

中村 もうやりたい放題というか。こういうことやりたいと言えば、合わせてくださる。そういう関係になっている。もうだいぶ前から、この曲はああしよう、こうしようと。この曲の前にこの曲をとか(構成も)ラフに考えていたので。

あと去年、意外とウケた曲が。大学時代モテようと、コミックソングを作ったことがあった。くっだらない歌なんですけど(笑い)壮大なアレンジをしてくれて。本当は失礼だったかもしれないですけど、意外とウケて(笑い)。じゃあまた今年もそういう歌を、と。やあなんかすごい楽しい。

-4都市ツアー、各公演での違いなどは

中村 まず演奏する方が違う。去年と今年でも違いますし。関西は去年と同じ大阪交響楽団と。「どうも久しぶりです」というあいさつから始められる。他の所は初めてですが、それもいい緊張感。すごく音楽のクオリティーも高いので、いい意味で負けちゃいけないなと。せっかくいい音楽を作ってもらっているので、こんな歌じゃいけないなとか。すごくいい刺激になって、頑張ろうという気持ちが強い。

-どういった準備を

中村 だいたいセットリストは決めたり、この曲に関してはこうするとか。伝えてアレンジしてもらって。ああしよう、こうしよう、あの曲がいいんじゃないかなとかって、楽しい作業ですね。なんだかんだ、長くやっているから。今まで出した曲、300超えるんですよ。レコーディングした曲だけでも。その中で選ぶとなかなか。

-何を選ぶかで違ったものになる

中村 そうなんです。ブロックで考えるところもあって。アップテンポの曲を3曲続けようとか。スケールの大きい曲をここでやろうとか。それに合う曲をとか。あと最初からこの歌ありきで考えたり。すごく楽しいです。

-演じる、音楽、それぞれ違う表現だが

中村 表現者としては一緒なんですけど、違うといったら違う。今年も春に舞台をやって、ずっと一人で延々しゃべっている内容。6月にビルボードライブがあって「ああなんて歌は解放されるんだろう」と。せりふは一字一句間違えちゃいけない。ある種の緊張感があって。歌になったらもう気持ちいい、みたいな。

-50周年に向けて

中村 74年4月7日が「われら青春!」の1回目だった。50年目というと来年なんですね。自分なりに、50年はまあまあやってきたかなと。やりたいことはやらせてもらったらいいなというくらいですね。大学時代に80曲くらい作っているんです。「ああ、自分の作った曲がレコードになったらいいな」なんて夢のまた夢だなと思っていたら、デビューすることになったじゃない。「ふれあい」が売れたら、ディレクターが「雅俊君、学生時代曲作ってたの? 聞かせてよ」って。すぐアルバムになりました。そんなのっていいのかしらっていう感じで(笑い)。

-夢を実現された

中村 80曲といっても稚拙な曲もあるんだけど、その中でとりあえず14曲が学生時代に作った曲がレコードになってる。そのあと、デビューしてからは自分で作ったりして、結局60曲くらいまで自作はレコードになっているんですけど。でもいい曲がないんで(笑い)。アルバムになっているだけで。役者やって、コンサートやって、自分の作った曲がレコードになって。自分の中では大満足してますけどね。

-充実していた

中村 単純に、自分の作った曲がレコードになるんですよ。ちゃんとアレンジしてもらって、トラックダウンしてもらって、すんごい。本当にすばらしい。

-自作曲への思い入れ

中村 ありますね、作ったなりに思い入れは。ダメな子供ほどかわいいっていうじゃないですか(笑い)。そういう意識が強いです。

-公演への意気込みをお願いします

中村 流れる曲はしたくないんです。つまり、心にとどまるような。一曲一曲、このような曲だというのを表現したいなと思っています。昔、おやじの歌を作った。今年NHKの「ファミリーヒストリー」に出て、初めて知ったことがたくさんあった。おやじの顔って晩年の写真1枚しかなかったんです。番組で若い時の顔が出てきて。姉たちとも話したんだけど「イケメンじゃん」って。俺が4つの時に42歳で無くなったというデータがあったんですけど、間違いで実は40歳の時で。すごい若かったんだなと。いろいろ情報が新たに分かった。「父に捧ぐ」というアルバムの中の歌なんですけど。それは一つの例ですが、しっかりと一曲一曲ちゃんと伝えられたらいいなと思います。

「billboard classics 中村雅俊 Symphonic Live 2022 ~HARVEST~」は名古屋公演(11月10日)を皮切りに、東京(同17日)、兵庫・西宮(同26日)、福岡(12月13日)で開催。プレイガイド先行発売中。一般発売は10月8日開始。