俳優藤原季節(30)が16日、インスタグラムを更新。18年に撮影した初主演映画「東京ランドマーク」(林知亜季監督)と、コロナ禍の20年に自主製作した配信舞台「たかが世界の終わり」が、11月11日から同26日まで開催される、第33回TAMA映画祭で上映が決まったと発表した。

藤原は「映画『東京ランドマーク』と『たかが世界の終わり』の二本立てが、なんと第33回TAMA映画祭で上映されることになりました 11月19日(日)はぜひ、この晴れ舞台を見届けていただけると幸いです」とつづった。「東京ランドマーク」は、撮影のほとんどが、TAMA映画祭が開催される多摩市で行われており、思いもひとしおのようだ。

「東京ランドマーク」は、藤原が9月に東京・テアトル新宿で開催した、デビュー10周年記念特集上映で初公開されるまで未発表だった初主演作。コンビニでアルバイトしながら東京で淡々と1人暮らしをする藤原演じる25歳の楠稔と、ニートで同い年の稔の家に遊びに行く義山真司演じる小田岳広の日々を描いた。

藤原は、8月23日に出版した初のパーソナルブック「めぐるきせつ」の中で、本格的に俳優活動をスタートさせた20歳から現在までの俳優人生で経験した話を中心に、幼いころのこと、俳優になるまでの道のりなど約10万字にわたり自ら書き下ろした。その中で「東京ランドマーク」の企画の経緯、過程にも触れている。実際に藤原と義山も、20歳の時に新宿歌舞伎町の劇場で出会った同い年の友人で、25歳だった18年にダブル主演の映画を作ろうと林知亜季監督と3人で企画をスタート。ドキュメンタリー制作者でもある同監督に、2人の関係性や生い立ち、家族関係などを話し、2人を当て書きする形でフィクションの物語を作った。

それから5年を経て、東京・テアトル新宿での、藤原のデビュー10周年記念特集上映初日の9月8日に、ついに劇場での上映にこぎ着けた。上映後の舞台あいさつで、義山は「撮るきっかけになったのが、季節と林さんとの関係性で、友達関係、家族間の話を僕らの当てが気にして撮った経緯があった。温かさ…そういう良さが伝わっていれば良いなと、すごく思いました」と製作の経緯を説明した。藤原も「あるシチュエーションを、そのまま撮ることが多かった。筋書きはあるけど、せりふがないというのが多くて。(演じた)稔の家も実際、僕が住んでいた家を使っていたり(義山演じる)岳の家もね。だんだん、カメラがあることすら忘れた」と振り返った。

劇中には、ある計画のために5万円を工面しなければならず、稔が折半を提案するものの、ニートの岳広が数千円しか持っていないというシーンがある。藤原が「本当に、いくら持ってるの? みたいな感じで、言い合いになった。当時3000円くらいしか持っていなかった」と振り返った。義山も「当時、僕は本当に働いてなくて。お財布に1日、500円しか持っていない日もある中、撮ったシーンだった。季節に『お前、いくら持ってるの?』と言われた時、本当に傷つきながら『本当に持っていない』と、恥ずかしい気持ちになりながら」と振り返った。

出演した大西信満(48)は「これ、撮ったのは5年前。季節君は、どんどん主演作が公開されているけれど、時系列としてはその前で主演したことがなかった。この現場がなかったら、その後の活躍がないと言えるくらい、みんなで頑張った」と振り返った。さらに「(撮影当時)季節君と真司君は半泣きで、この映画の思いを話していた」と明かすと、藤原は「あったなぁ。飲みに連れて行ってもらった。その時は、すみませんでした」と謝った。

藤原は「当時の自分たちにしか撮れないシーンがあって、特別な思い入れがある。自分のふるさと(札幌)でも撮った。原点的なものを感じる」と感慨深げに語った。その上で「最初の編集版が3時間以上、あった作品を4、5年かけて削って…思いがこもっている。」と林監督に感謝した。そして、舞台あいさつの最後に「自分たちも、どこまで持って行けるか分からないんですけど、出来たら全国に持っていきたいんですよ。素の自分とか、日記みたいな映画が全国の人に届いたら、それは、それで豊かなことなんじゃないかと思う。東京の映画館でも、またかかったらいい」と熱く語った。

また、藤原はインスタグラムで、デビュー10周年記念特集上映が関西で拡大開催されることが決まったことも、併せて発表した。「さらに藤原季節特集上映が大阪・京都へと拡大します。シネ・リーブル梅田とアップリンク京都にて、12月22日(金)~28日(木)同日上映です。年末は関西で会いましょう! 関係者の方々、そして映画館に足を運んでくださる皆さまへ、最大の感謝を込めて。」とつづった。

藤原は、21年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」や同年の映画「明日の食卓」「空白」など注目作への出演が相次ぐ、今、動向が注目、期待される若手俳優の1人だ。今後も、注目作への起用が期待される中“幻の”初主演映画の関西への拡大公開を、有言実行させた。今後の行方にも注目だ。