MENU CLOSE

連載

#1 w-inds.橘慶太さんインタビュー

新生w-inds.が「昔の曲を一切やらないライブ」に挑戦したわけ

国内のダンス&ボーカルグループの先駆けであり、今年でデビュー23周年を迎えたw-inds.。「昔の曲を一切やらないライブ」に挑戦したのはなぜか。
国内のダンス&ボーカルグループの先駆けであり、今年でデビュー23周年を迎えたw-inds.。「昔の曲を一切やらないライブ」に挑戦したのはなぜか。 出典: ポニーキャニオン提供

目次

過去のヒット曲も含め、「昔の曲を一切やらないライブ」をやりたい――。2023年から2024年にわたって海外を含む11公演のライブツアー「w-inds. LIVE TOUR 2023 "Beyond"」を成功させたw-inds.。さまざまな制限もあったなか、ステージの構成を手掛けたメンバーの橘慶太さんは「始まる前までめちゃめちゃ不安で震えていた」と吐露します。結果、再追加公演まで広がっていったライブに込めた思いを聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
【PR】「あの時、学校でR-1飲んでたね」
《略歴》たちばな・けいた 1985年、福岡県生まれ。w-inds.のメインボーカリストとして、2001年にシングル「Forever Memories」でデビュー、初のアルバム「w-inds.~1st message~」がオリコンチャート1位を記録し、「第43回日本レコード大賞」最優秀新人賞を獲得。23年に15枚目のオリジナルアルバム「Beyond」をリリース、同アルバムを携えた「w-inds. LIVE TOUR 2023 “Beyond"」を開催。24年には「w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia"」を予定する。作詞作曲、プロデュースを手掛け、ソロ活動やサウンドエンジニアとして他のアーティストとのコラボレーションにも取り組む。

「初めて歓声を受けた楽曲も」

――“Beyond”はコロナ禍が明けて初の声出しありライブでした。ひさしぶりに歓声を聞いていかがでしたか。

いやー、もう純粋にめちゃくちゃうれしかったっていうのがありますし、あとはやっぱり、やりやすい。もちろん、声無しのライブがやりにくいわけじゃなかったんですけど。

ライブでは「みんなの声がこんなに自分たちのエネルギーになってたんだな」っていうことを、すごく実感できたというか。あとは、(アルバムの)「Beyond」をリリースして、歓声を聞けなかった時期に作った楽曲たちが、初めて歓声を受けたんですね。

「この曲はこんなに盛り上がってもらえるんだ」っていうのが、すごくうれしかった思い出がありますね。例えば「Strip」っていう曲があるんですけど、盛り上がりをステージ上で実感できたのが大きかったです。

――「Strip」は椅子や衣装を使ったセクシーな演出でも魅せていましたね。

ミュージックビデオを再現するような内容だったので、そこが観客の方ともリンクして、ステージで観られることを喜んでもらえたんじゃないかな、と思います。

曲を出すと、聴いてくださった方から「すごくいいです」みたいな感想をいただくんですけど、あらためてステージでやったときに、歓声によって実感に変わったので。

――ライブはやはり観客とインタラクティブなものなのですね。

それはもう、そうですね。パフォーマンスの持っていき方が変わるというか。何て言ったらいいんだろうな、やっぱりライブって、全部をこう、フル(パワー)でやるわけじゃないんですよ。

どこかで調整しているというか、強く出すところと少し抜くところっていうのを配分しながらやる部分もあって。ライブだとその意味で「どこでどういうふうに盛り上がるか」が声をいただけるからわかりやすくて。

そうすると自分たちも、どこでより力を入れるべきかっていうのもわかりやすくて、やりやすいなあって思いましたね。

――考え方がアスリートのようですね。試合運びみたいな。

確かに、そうですね。なんていうか、ノリでやってるわけじゃないですね。自分は緻密にやるのが好きなので、組み立てて……って感じです。
 

「本当にもう震えてましたね」

――前回のツアーは「(あえて)踊らない」方針だったと伺っていますが、今回のツアーではダンスに注力されています。また、セットリストは近年のw-inds.プロデュースの楽曲中心で構成されていました。狙いはどこにあったのでしょうか。

いくつか意識してるところはあるんですけど、まず、僕たちが長年、活動していて、一つ自分の中で課題だったのは、常に「新しい楽曲で来てくれてるみんなを楽しませなきゃいけない」っていうことで。

それは音楽家として、パフォーマーとして、自分にこう課した……課題というか。歴史が長いと、過去のヒット曲っていうのが、ありがたいことにいくつかあって。そういう曲をやると、間違いなく盛り上がってくれる。

僕たちにとっても大切な曲たちなので、うれしいしすごくありがたい反面、新しいもので評価されないってなると、今の自分たちの実力が試せないというか、制作の思いが消化しきれないのがイヤで。

そういう意味で、いつか「昔の曲を一切やらないライブをやってみたいな」っていうのは、もう本当に、15周年くらいからずっとあったんです。ただ、「まだ今じゃないな」っていうのが続いていた中で、今回、なんかこうピッと、「ここだ」っていうタイミングが来たのはありますね。

――きっかけはあったのでしょうか。

実は準備が遅れたんです。今回のツアーって。発表もすごく遅れてしまって、やるかやらないか本当にわからない状態だったんですよ。

今、コロナ禍が明けてエンタメ業界が盛り上がっていこうとする中で、会場が押さえづらい。細かいことを言うと、大道具さんもいない。「それじゃステージも作れないしどうする」みたいな、本当にゼロからのスタートだったんですよね。

今度は「会場は押さえたけどスタッフが集まるか」……みたいな。僕たちですら、今年のツアーをやれるのかやれないのかがギリギリまでわからなくて、わかったのは本当に、1カ月と少し前とかだったんです。

それで、「ちょっとこれ、どうしたらいいんだろう」みたいな。かなり悩んだんですけど、それは観にきてくださる人たちには関係ない話なので、言い訳にはしたくない。「だから思うように仕上がらなかった」って言ってしまうのは、すごく自分の中でカッコ悪い、絶対にやりたくないことだったので。

時間のない中で、ステージ(の構成)やセットを細かく、深く作るのは現実的に不可能というのを自分で判断して、シンプルなセットでどうやったら楽しませられるかって考えたときに、ダンスに特化するしかないと思いました。

自分たちのパフォーマンス力、もう120パーセント、150パーセントを出して、ある意味で人力でがんばろうって。そこで覚悟を決めたときに、じゃあ、ダンスナンバーを届けるには、昔の楽曲ではなく、新しい楽曲が一番、適役なんじゃないかな、と。

ずっとやりたかった「昔の曲を一切やらないライブ」にここでチャレンジしてみよう、みたいなステップで決めましたね。

――結果的に“Beyond”は大盛況で再追加公演まで走り抜けました。

いや、本当にもう、めちゃくちゃありがたくて。なんなら追加公演の方が(席数が)増えちゃった。4年ぶりの海外公演となる台湾と香港でも開催できましたし。

――SNSの投稿で、このツアーには語り尽くせないほどの思いがあるとおっしゃっていましたが、こういうことだったのですね。

そうですね、色々あって結構、大変だったんですけど、やっぱりこういう逆境って人生に大切だなあって、あらためて今回のライブやって思いましたね。

すごく不安だったんですよ、初日を迎えたときに。派手なセットでもないし、本当に自分たちのパフォーマンスだけだし、過去の曲も一曲もやらないって、今までなかったので。めっちゃめちゃ不安で。始まる前までずっと不安で、もう震えてましたね(笑)。
 
w-inds. LIVE TOUR 2023
w-inds. LIVE TOUR 2023 "Beyond"
▼「w-inds. LIVE TOUR 2023 "Beyond"」Blu-ray/DVDはこちら

▼2024年7〜9月のツアー「w-inds. LIVE TOUR 2024 "Nostalgia"」の情報はこちら


▼「一生w-inds.ですか?」尋ねると…橘慶太さん語る〝やめ時〟 - 朝日新聞デジタル

連載 w-inds.橘慶太さんインタビュー

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます