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現代屈指のカリスマ指揮者ワレリー・ゲルギエフ率いるマリインスキー劇場が、1月26日(土)開幕の来日公演に先駆けて、昨年12月25日に北京公演を開催。北京市の天安門広場脇に完成した世界最大規模のドーム型多機能劇場「中国国家大劇院」のオープニング公演の第3部として登場。来日公演プログラムでもある『イーゴリ公』を上演し、劇場を埋め尽くした2500人の観客から大喝采を浴びた。
これまでもアンナ・ネトレプコほか数々のスターを輩出し、歌手の質の高さが評判のマリインスキー劇場だが、北京公演でもその実力を遺憾なく発揮。イーゴリ公役のセルゲイ・ムルツァエフは、朗々とした歌声で勇者の風格を堂々表現。イーゴリ公の息子・ウラジーミル役のエフゲニー・アキーモフはマリインスキーの看板テノールらしく甘く豊かな歌声を披露。また第4幕の見せ場「ヤロスラーヴナの嘆き〜ああ私は悲しい」など超絶技巧と声量の豊かさを高レベルで求められるイーゴリ公の妻・ヤロスラーヴナ役を見事演じたエカテリーナ・シマノヴィッチ(来日公演『3つのオレンジへの恋』にも出演)など、日本での知名度はまだまだだが、未来のスター歌手への飛躍を期待させる逸材ばかり。
また、ゲルギエフが手綱を握るオーケストラに関してはもはや説明不要だろう。最大のハイライト「だったん人の踊り」では世界最速!?と思わせるほど疾走感あふれるサウンドが炸裂。ただし、狂乱の只中にいながらもクールさを失わない、ギリギリの均衡を保ったサウンド創りは流石。まさに超一流の証だろう。
「だったん人の踊り」もうひとつの主役であるバレエもエキゾチックな興奮を誘発。バレエ王国ロシア屈指の劇場が誇る専属バレエ団の踊りは迫力満点、本格派バレエファンも垂涎ものだ。
北京公演では、従来の初演版とファーリク版(マリイスキー劇場が1993年の録音時に使用)を参照しつつ、新たに作成された「2007年ゲルギエフ改訂バージョン」を使用(来日公演も同様)。幕順の一部入れ換えなど全編にテコ入れを行い、よりスムーズなドラマ展開を実現。ゲルギエフ自ら“パワフルなエンディング”と賞した「イーゴリ公の帰還」まで濃密なドラマが一気に駆け抜ける展開で、観るもの全てが虜になるに違いない。
近年、ますますクラシック音楽の需要が高まる中国において、目と耳の肥えた観客たちをも熱狂させたゲルギエフ&マリインスキー・オペラ。総勢200名に馬2頭も登場する、スペクタクルあふれるロシアの歴史絵巻『イーゴリ公』ほか、計4作品を上演する「マリインスキー・オペラ」来日公演は1月26日(土)から開幕だ。
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