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主にドキュメンタリーの領域で活躍するアリ・フォルマン監督の長編アニメーション『バシールとワルツを』が27日にコンペティション部門として上映され、トークイベントを行った。
アリ監督自らも従軍し、1980年代にパレスチナ難民の大量虐殺を引き起こしたレバノン戦争を題材に、記憶がほとんど消え去っているというアリ監督が、この戦争が何のための戦争であったかを突き詰めるべく友人やかつての同僚にインタビューを敢行。本作はそれをアニメーションという極めてユニークな手法によって描いていく。
上映前に行われた予備知識講座では防衛大学の立山良司教授を招き、映画の背景となった第一次レバノン戦争や、イスラエルの社会情勢などを詳しく解説。来場者たちは熱心に耳を傾けていた。
また、上映後には本作のアニメーション監督を務めたヨニ・グッドマンによるQ&Aイベントを開催。ヨニ監督は「この映画を通じて戦争の怖さ、惨さを伝えたかった」と真摯に訴えかけ、「アリ監督の戦争に対する恐怖や幻想をありのままに映したいと思い、それにはアニメが最適なツールだと思った」とアニメーションという今までにあまり例のない手法をとった理由などを明かした。また技術的なことについて「人物の動きなどを簡略化しているスタイルをとっているのはなぜか?」という来場者からの質問に、「伝統的なアニメーションの手法では200人から300人のアニメーターを起用して巨額の予算をかけて製作されるけれども、今回イスラエルでは10人のアニメーターによって作られました。今回使われたのは実写をなぞるといったものではなくカットアウトアニメーションという技術。単純化せざるを得ない手法ではあるけれども、逆に独特なスタイリッシュな映像として技術的な不備を長所へと導けたと思っています」と語った。
監督いわく「この映画を観た戦争体験者の方が私のもとにやってきて、今まで黙っていた自分の体験について話をしてくれたこともありました」とイスラエルでの反応も良かったようで、「この映画をきっかけに戦争経験者が自分の経験を人と分かち合えるきっかけになれば」と語っていた。
『バシールとワルツを』
■東京フィルメックス
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