タレント ニュース
演 劇

思春期における少年少女たちの苦悩を描き、ブロードウェイでも絶賛され2007年トニー賞8部門を総なめしたミュージカル『春のめざめ』が、5月2日、東京・自由劇場で開幕した。この初の日本語版を手がけるのは、これまでも上質なミュージカル作品を多数送り出してきた、劇団四季。初日にさきがけ1日に行われた公開稽古の模様を取材した。
舞台にスポットライトが差し、そこにひとりの少女・ベンドラが現れる。ベンドラは母に問いかける、「どうやって赤ちゃんはできるの?」と。性が芽生えつつある少女の素直な疑問。それは若者にとって切実な問題にもなり得ることだが、母親はその答えを先送りにしてしまう。それが悲劇の始まりだとも気づかずに。そしてある日、ベンドラは幼なじみだった少年・メルヒオールと再会。徐々に惹かれ合うふたりは、心も体も結ばれるのだが……。
本作の舞台は19世紀のドイツ。しかし彼らに起こる問題は、現代にも通じる普遍的なものだ。それは性に関する葛藤であり、大人に対する反発であり。そしてそれらを表現するのに用いられているのが、ロック。キャストたちはマイクを片手に、若者ならではの複雑な心情をロックナンバーに乗せ歌い上げる。だからこそこの作品は、国や年代は違えども、今を生きる人々の心にも強く訴えかけてくるのだろう。
脚本・歌詞を手がけたスティーヴン・セイターは、本作への想いをこう語る。「私たちはただのエンターテインメント作品を作ろうと思ったわけではありません。世界を変えてやろうと、ロックで世界を揺さぶろうという気持ちでこの作品を作りました」。また音楽を手がけたダンカン・シークからは、日本語版ならではのこんなコメントも。「日本語で歌われることで、私が坂本龍一の影響を受けているということが全面に出ている。それは非常に面白い発見でしたね」。
演じる劇団四季の役者たちは、その多くが若手。しかしそれを感じさせない技術力の高さと、若者らしい力強さで終始観客を魅了する。同世代の若者同士はもちろん、子供とのコミュニケーションツールとして、親子で観劇することもおすすめしたい。
(取材・文:野上瑠美子)
関連リンク(外部リンク)
関連タレント
演劇のニュース もっと見る
-
演 劇
2022年07月15日 19時00分 更新「とんでもなく面白い」 舞台『ヒトラーを画家にする話』まもなく開幕へ -
演 劇
2022年07月15日 18時55分 更新ミュージカル『春のめざめ』開幕、抑圧の中で芽吹く性の行方 -
演 劇
2022年07月15日 18時50分 更新「今年は今年の面白さ」 KAATキッズ・プログラムが今年も開幕へ -
演 劇
2022年07月13日 13時00分 更新乃木坂46の久保史緒里が決して“笑わない”花魁役に -
演 劇
2022年07月12日 10時00分 更新円神・山田恭「翼を授かって自信に変えたい」、白鳥雄介の新作で