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実験的映画を作り続けてきたラース・フォン・トリアーが、またもやとんでもなく衝撃的な映画を撮った。
コンペ作品として上映された『Anti Christ』のジャーナリスト向け上映では、ブーイングと拍手が同じくらい巻き起こる始末。上映後も、ジャーナリストたちの間では、あの作品をどう思うかの論議に花が咲いた。
登場人物はたった3人。ウィレム・デフォー演じる夫と、シャルロット・ゲンズブール演じる妻、そしてそのふたりの間にできた息子だ。だが、その息子は、最初の数分で死んでしまう。物語は、その悲しみを乗りこえられない妻をなんとか立ち直らせようとする夫のむくわれない努力を描くもの。その過程では、リアルすぎるセックス描写にとどまらず、ゲンズブールの全裸によるマスターベーションシーンや、果てには女性器のクローズアップ、そしてそれらに対するバイオレントなシーンも出て、試写会場には悲鳴も出た。
翌日の記者会見では、「こういう映画を作ったことを、あなたはどう正当化するのですか」と非難に満ちた質問も浴びせられたが、フォン・トリアーは「この映画を通じて言いたかったことなどない。正当化する必要もない」の一点張り。フリをしているだけとは思えない性描写を要求されたことに「行き過ぎと思いませんでしたか」と問われると、デフォーは笑って「ノー」とひとこと。フォン・トリアーは「行き過ぎているかなと思ったが、やめられなかった」とジョークまじりに付け加えた。
女性器をあそこまで見せる必要があるのかとの問いについてのフォン・トリアーの回答は、「見せなければ嘘だと思った。これは性と罪悪感についての話だし」。反感を持つ観客がいても、「気にしない。観客がどう思うかを考えて映画は作っていないから」とあっさりコメントした。日本公開は未定。
取材・文:猿渡由紀
撮影:若山和子/Jean-Louis TORNATO
■第62回カンヌ国際映画祭
5月13日〜5月24日まで開催
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