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石丸幹二、戸田恵子出演によるミュージカル「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ〜日曜日にジョージと公園で〜」が、7月5日、東京・PARCO劇場で開幕した。
非常にユニークなスタイルの作品である。登場するのは、点描画の第一人者であるジョルジュ・スーラの名画「グランジャット島の日曜の午後」に描かれている人物たち。そしてその作者であるジョルジュ・スーラ(=ジョージ)を巡って、物語は展開していく。「グランジャット島の日曜の午後」を描くため、ジョージは今日も愛人のドットをモデルにデッサンにふけっている。ドットはジョージの関心を引こうと必死だが、ジョージは自らの世界に没頭していくばかり。そして日曜の公園には、老婦人と連れの看護婦、ジョージの友人で画家のジュールとその妻など、さまざまな階級の人物が集い始め……。
舞台の幕が開くと、そこには真っ白な空間とジョージの姿があるばかり。それはまるで、筆を入れる前のキャンバスのようだ。しかしそこにジョージの目が向けられ、光が注がれることで、真っ白なキャンバスはグランジャット島の豊かな色彩を手に入れる。PARCO劇場という小空間も手伝い、観客は一瞬にしてジョージの光と色の世界へと誘われるのだ。この映像の使い方と舞台美術が、本作を成功へと大きく導いたと言えるだろう。
石丸は、ドットへの愛はあるものの、芸術家としての信念を貫いた苦悩と悲しみの人、ジョージを熱演。ドットとの別れのあと、キャンバスに向かう姿には狂気めいたものさえ感じさせる。芸術家を愛してしまった切なさを、繊細なタッチで演じたのはドット役の戸田。女優としての技量の高さを、本作でもいかんなく発揮している。また諏訪マリーや山路和弘など、共演者にも演技派がズラリ。そのすべてが点描の1点1点のように存在し、大きな1枚の絵として絶妙なハーモニーを生みだしている。
さらに2幕では、時はくだりジョージのひ孫・ジョージの時代へ。同じ芸術家である彼の目線から、時代をこえて通じる芸術家の苦悩、家族の愛の大切さが描かれていく。ふたつの時代を描いた前半と後半を通して大きな愛が浮き彫りになる仕掛けだ。ひ孫・ジョージを演じる石丸ほか、出演者全員が1幕と別のキャラクターを演じるのも見ものだ。
作詞・作曲は、「グランジャット島の日曜の午後」から伝えられる“言葉”にインスパイアされたというスティーヴン・ソンドハイム。メロディラインの美しさはもちろん、登場人物一人ひとりの心情を自然に、そして情感豊かに楽曲で表現していく。演出は、これが4度目のソンドハイム作品となる宮本亜門。その“言葉”とじっくりと語り合い、この世界観を見事舞台上に現出させた。
公演は8月9日(日)まで同所にて。チケットは発売中。
(取材・文:野上瑠美子)
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