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米国でポピュラーな綴り字(スペリング)大会をモチーフに、子どもたちの奮闘とホンネを描いて大ヒットしたブロードウェイ・ミュージカル「スペリング・ビー」。2005年のトニー賞でも2冠を制した本作の日本版が7月17日、いよいよ東京・天王洲 銀河劇場で幕を開けた。
このスペリング大会、参加できるのは14歳以下の子どもということで、物語はもちろん子どもたち主導で展開。とはいえ、演じるのは藤井隆や新妻聖子といった“大人の”実力派キャスト陣だ。作詞・作曲はブロードウェイのヒットメーカー、ウィリアム・フィン。彼の躍動感あふれる楽曲で歌い踊る一方、大人顔負けのシニカルさを発揮する子どもを藤井らがどう演じるかも見どころだ。
舞台は米国パットナム郡。地区大会を勝ち抜いて郡のスペリング大会に出場する子どもたちは気合い充分。足で綴りを確認するウィリアム・バーフェイ(藤井)や、辞書だけが友だちの内気なオリーブ(新妻)、また、思春期に入り悩みの多いチップ(坂元健児)に繰り上がり出場のリーフ(梶原善)、そして、ふたりのパパがいるシュワージー(高田聖子)、天才少女マーシー(風花舞)と、出場者も個性的な子ばかり。さまざまな想いを抱えながらも接戦を繰り広げる子どもたち。そして最後に“本当の”勝者となったのは……。
ステージには体育館のセットが置かれ、司会のロナ(安寿ミラ)が客席に「これから開会です」と告げる場面からスタートすると、たちまち客席も観客としてスペル大会に参加している気分に。実際、本作では来場者が当日会場で舞台参加にエントリーでき、選ばれればキャストと一緒に舞台に立つことができるのだ。この日も4人の観客が舞台に上がった。出題担当は、いかにも小市民といった風情のパンチ副校長(村井国夫)。スペラー(大会参加者)に単語の意味と例文などヒントを与えていく役回りだ。第1幕ではスペラーとパンチ副校長、そしてロナとのコミカルな攻防戦が見もの。初日はひとりの観客参加者が超難問に正解! ストーリーの展開上、副校長が少し慌てる(?)場面も。そんなハプニングも本作の魅力だ。
第2幕に入ると、大会もクライマックスに。同時に、子どもたちの心の影も徐々に明らかになってくる。特にこれまでのイメージとは一転、脆く純粋な少女を見事に演じたオリーブ役の新妻が印象的。生意気だが憎めないバーフェイ役の藤井もまさにハマり役だ。その他、敗者を慰めるカウンセラー・ミッチ役の今井清隆など、まさに隅々まで適材適所のキャスティング。“人と違っていても、それでいい”。そんな温かいメッセージがじんわりと伝わる良作である。
公演は8月2日(日)まで同所にて。その後、愛知県勤労会館、大阪・サンケイホールブリーゼ、福井県・福井市文化会館でも上演される。チケットは現在発売中。尚、電子チケットぴあでは、東京公演のお得なS席割引当日引換券(公演日限定)も発売中。
(取材・文:佐藤さくら)
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