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佐々木蔵之介ら男6人が体現する、 “少し怖くて温かい”舞台
2009年08月18日 10時47分 [演劇]
舞台「狭き門より入れ」が開幕 撮影:加藤幸広
舞台「狭き門より入れ」が開幕 撮影:加藤幸広

日常と非日常が背中合わせの戦慄的な世界を描く劇団『イキウメ』の前川知大。各方面から注目を浴びる彼の新作「狭き門より入れ」が、8月17日、PARCO劇場で開幕した。前川とは2年ぶりのタッグを組む佐々木蔵之介が、現代劇初挑戦の市川亀治郎、『ROOKIES』の中尾明慶ら魅力的なキャストを招いたのも見どころ。手練の男優6人で、一神教の終末論やノアの方舟を題材としたスリリングなSF劇を仕立て上げた。

自殺しかけた天野道彦(佐々木)の前に、死んだはずの元同僚・葉刈(亀治郎)と謎の男・岸(手塚とおる)が現れ、「死ぬなら3日待て」と言い残す。アタッシュケースに入れた退職金を持ち、コンビニを営む実家に帰る道彦。店では道彦にリストラされた時枝(浅野和之)が青年・魚住(中尾)に強盗をけしかけ、彼が退職金とレジの金を盗もうとレジキーをひねると、景色がぐにゃりと曲がり“世界の裏”へと移行する。ノアの方舟宜しく人間の4分の3を取捨選択し、新世界と旧世界に分ける“世界の更新”を3日後に控え、3人はふたつの世界の入口にこの店が定められていることを葉刈と岸から知らされる。新世界は生き続けられるが、過去の記憶が消去される。旧世界は記憶も人間関係も今まで通りだが人口は減り、3年後に消滅してしまう。“世界の表裏”を行き来しながら、3人は各々の覚悟を決めていく。

世界の選択が迫られる3人は、揃いも揃って虚無感に満ち、運の悪さを人のせいにして苛立っている。利己主義的な考えからかニコリともしなかった3人が、人生の行く末を考えるにつけ喜怒哀楽が蘇ってくる。その表情を最も巧みに表していたのが主演の佐々木だ。コミカルな要素を体現した浅野、初舞台と思えないほど自然な演技を見せた中尾の存在も光る。また佐々木に選択を迫る市川亀治郎は威圧感たっぷりで、その彼と対になる手塚は掴み所のない人物を好演。そして6人中“世界の更新”の内容を知らない有川マコト(佐々木の弟役でコンビニ店長)を見て、欲をかかずに平凡に生きられたらどんなに幸せかと思った観客も多いことだろう。

“世界の選択”ほど大きなものでなくとも、人は日々、人生の選択を迫られている。人と人との関わりを持ちながら、悔いなく生き抜く――。それがいかに重要で難しいかを教えてくれるのが、この「狭き門より入れ」なのかもしれない。

公演は9月6日(日)まで同所にて。その後岡山、大阪、広島、福岡の各地にて上演される。東京公演は前売チケットは完売しているが、電子チケットぴあにて当日券予約を取り扱う。当日券予約専用電話0570-02-9998にて、公演当日の朝10:00から昼12:00まで受付ける。

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