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演出家で俳優の白井晃が演出を手がけるオペラ『オテロ』の舞台稽古が、2月15日に東京文化会館(東京・上野)にて行われた。
『オテロ』は、シェイクスピア四大悲劇のひとつ『オセロー』を題材に、イタリアの大作曲家ジュゼッペ・ヴェルディが晩年に手がけたオペラ作品。15世紀のヴェネツィアを舞台に、キプロス総督である英雄オテロが部下イアーゴの奸計に落ち、妻デズデーモナの貞節を疑って殺害。後に妻の潔白を知らされ、自害するという物語。権力闘争と愛憎渦巻くドラマを壮大なオーケストラと合唱が描く傑作だ。
演出を手がけるのが白井晃。1983年から2002年まで劇団『遊◎機械/全自動シアター』を主宰。現在は演出家、また三谷幸喜作品ほかで俳優として活躍中。オペラ演出デビューとなった2006年の一柳慧作曲『愛の白夜』に続き、今回の『オテロ』がオペラ2作目となる。
白井晃の演出コンセプトは「人間臭さ」。嫉妬や独占欲、出世欲に心が捕らわれてしまい、いつしか道を踏み外す…そんな人間の人間らしい部分をストレートに描いていく。白井晃の演出を引き出すために、舞台装置は装飾を省き極めてシンプルに。基調となる白と黒が、登場人物の心の明暗を象徴的に表す。また原作がもつ時代設定や人種・宗教の対峙などの問題はあえて強調しないことで、登場人物たちの心情描写を際立せる。
舞台稽古では、この演出コンセプトを具現化する歌手たちの動きに注目が集まる。歌唱を重視するあまり、演技がおざなりになりがちなオペラだが、白井の演技指導はリアリティにこだわる。細かな感情の流れとリンクした身体の動きと言葉の用い方を徹底的に求めるも、オテロ役の福井敬、イアーゴ役の大島幾雄ほかの歌手陣がその要求に見事に応え、説得力ある濃密なドラマを体現。これはオーケストラとコーラスについても同様で、ミラノ・スカラ座ほかで活躍するロベルト・リッツィ・ブリニョーニの指揮、東京都交響楽団、二期会合唱団も大胆さと繊細さを絶妙に使い分け、物語にうごめく感情のうねりを生々しく表現してみせた。
白井晃のオペラ演出2作目となる『オテロ』は、2月17日(水)・18日(木)・20日(土)・21日(日)に東京文化会館 大ホールで開催。チケットは発売中。
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