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バーンスタイン没後20年と兵庫県立芸術文化センター開館5周年を記念し、バーンスタインの最後の愛弟子である佐渡裕プロデュースのオペラ『キャンディード』が上演。7月24日から8月1日まで兵庫県立芸術文化センターで全7公演を開催し、連日超満員の観客を動員する大成功を収めた。
20世紀を代表する指揮者/作曲家のレナード・バーンスタイン(1918〜1990年)が手がけたオペラ『キャンディード』は、18世紀フランスの啓蒙思想家ヴォルテールによる同名の小説が原作。楽園の地に住む純朴な青年キャンディードが「この世は万事成り行きまかせが一番幸せ」という楽天主義の楽園で育つも、身分違いの恋により楽園から追放。行く先々で遭難・地震・宗教裁判などの災難に見舞われながら、生き別れた恋人や本当の幸せを求めて旅をするというストーリーで、ユーモアや社会風刺に富んだ一面ももつ。バーンスタインの代表作である『ウエスト・サイド・ストーリー』同様に、美しいメロディと躍動するリズム、楽しいダンスナンバーに彩られ、クラシックやジャズ、オペラ、ミュージカルなどの要素が結集した舞台作品として愛されている。
没後20年を記念した今回の舞台は、世界的オペラ演出家ロバート・カーセンによる洗練されたお洒落なステージ。舞台上に現れた巨大テレビ型の装置の中で、チャンネルを切り替えるようにめまぐるしく展開する場面は、まるでアメリカのテレビドラマのようなスピード感と興奮を演出する。ヴォルテールの原作の精神を大事にしながら、辛辣な皮肉や強烈な風刺、ブラックジョークなど、アメリカが最もアメリカらしかった1950年代という設定のもと、戦争、地震、集団心理の恐ろしさなどが、大胆な画面展開とともに描かれ、ありとあらゆる仕掛が施された周到さもキラリと光る。
物語と同様に、音楽も様々なテイストと色に溢れ、まるでマジックボックスのようだが、バーンスタイン最後の愛弟子である佐渡裕は、リズミカルで劇的な演奏を生み出す。長年この作品に抱いてきたひとかたならぬ思いが、恩師バーンスタインの没後20年の時を経て、渾身の音楽とともに解き放たれたかのよう。佐渡の熱き思いと音楽が、地元・兵庫の観客にも波及し、会場全体を一体感で包み込む、興奮の舞台となった。
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2010「キャンディード」は、大成功の兵庫公演に続いて、東京公演が8月6日(金)・7日(土)・8日(日)にオーチャードホールで開催される。チケットは発売中。
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