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香川照之、演じる苦しみの源にあるものを語る
2012年11月01日 13時24分 [演劇]
『ぼくに炎の戦車を』稽古場より 香川照之
『ぼくに炎の戦車を』稽古場より 香川照之

11月3日(土)、東京・赤坂ACTシアターで草なぎ剛主演の舞台『ぼくに炎の戦車を』が開幕する。『焼肉ドラゴン』『パーマ屋スミレ』など日本と韓国の狭間で揺れる人々を描き続ける鄭義信(チョン・ウィシン)作品に、韓国語も堪能な草なぎが初めて挑むことでも注目されている。共演はチャ・スンウォン、広末涼子、香川照之ら日韓の実力派俳優が集結。本番が迫る10月某日に稽古場を訪ね、香川に話を訊いた。

『ぼくに炎の戦車を』チケット情報

『犬、走る DOG RACE』『OUT』『刑務所の中』と、映画の脚本家としての鄭と仕事をしてきた香川。約3年ぶりのストレートプレイへの出演を決意したのはやはり「鄭さんの脚本の力でしょうね」と語る。香川演じる清彦は韓国人と日本人の間に生まれた男。妻を亡くし、そのことで子どもに恨まれている。経営する店で日本人官僚を出迎える一方で、こっそり韓国の放浪芸の集団・男寺党へ資金提供を行う。この複雑な役に対する彼のアプローチは明快だ。「要はどれだけ苦しみを抱えているか。今回はとくに、鄭さん自身が在日韓国人として生きる中で分断されているものを想像できるか、それだけです。僕自身の人生の中で引き裂かれたものや苦しさと、この役とのチューニングを合わせれば済むことです」。

一筋縄ではいきそうもない役について、こともなげに語る香川。そこには今年6月、46歳で初めて歌舞伎の舞台に立ったことも大きく影響しているのだという。「肚は据わりましたね。あんなにキツいことはないです。でもそれを通過して、なんとか生き延びた。そのことで演技に影響があるとすれば、たいていの役を飲みこめる立場にはなりました」。これまで積み上げてきた経験。そして歌舞伎というものと対峙し、乗り越えたこと。香川の演技を支えるのは、どうやら人生そのものらしい。

「映画や演劇のような“ごっこ”を、“夢を与える”なんてきれいごとの上でやらせてもらっている。ならば真剣に、自分の味わってきたことを架空の人物に入れてみる。それが好きなんです。好きというか、それしかできない」と語る香川。ここまで全身全霊で役にぶつかる役者も、そのことをさらけ出す役者もそうそういるものではない。「とかくこの仕事はプライドが積み上がりやすいんです。でもある時、自分は100人いたら100番目、200人いたら200番目だと心底思えた。プライドを捨てたらどんな演技でも、いや、どんな生き方でもできると思う」。香川自身の生き方が注ぎ込まれた演技を見届けたい。

公演は11月3日(土・祝)から12月1日(土)まで東京・赤坂ACTシアターにて、12月8日(土)から11日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演される。チケットは一部を除き発売中。

取材・文:釣木文恵

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