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戦後70年という節目の今年。映画「七人の侍」など黒澤明監督作品の常連としても知られた俳優・加東大介の戦争体験に基づく物語「南の島に雪が降る」が舞台化される。その主演を務める落語家・柳家花緑に舞台の話を聴いた。
太平洋戦争末期、ニューギニアの首都・マノクワリ。俳優だった加東軍曹(花緑)が従軍していた事から、兵士の士気高揚のため演劇慰問部隊が作られる事に。故郷に思いをはせる兵士たちで舞台は大盛況。ある日、瀕死の兵士が「東北の雪がみたい」とつぶやき…。1961年には、加東自らの主演で映画化。その後も何度も映像化されてきた名作だ。
今回、初主演となる花緑は「舞台には何度か出演させて頂いてますが、やはり落語がホームであれば舞台はまだアウェイ感。そんな中で芯をとらせて頂くとは、画期的な事。チラシを見るとこの時代に溶け込んでますね。そこが良かったのでしょうか(笑)。戦後70年という節目の企画でもあり、その意識も自分の中にきちんとあります。良い舞台にしたいですね」と笑わせつつ、きっちり意気込みも。
これまでの同作品は全て男性のみの出演だったが、今回は現地の女性リリーと、加東の妻の二役として大和悠河が出演。また一風変わった演出となりそうだ。「作、演出の中島(淳彦)さんは『リリーを通して祖国を感じる』というイメージを持たれている様子ですね。せっかくだから、ミュージカルのようなシーンも作ろうか、という話も出てまして危機は感じてます(笑)。自分の祖父(五代目 柳家小さん)も、戦争体験をしたひとり。祖父からもいろいろ戦争について聞いたこともあったので、体験はしてないけれど何となくその極限状態は想像ができます。戦場で演劇部を作る。そこまでしないと日々を暮らせない兵隊たちの気持ち。劇中に雪が降るシーンがあるんですが、誰も舞台に出ていない。観客は背景に感激し、どよめくんです。その様子を見て舞台裏も感激する…。こんな事実を伝えてくれた加東さんに感謝ですし、ちゃんと次の世代に伝えていかねばという思いがあります。僕流にやります、では済まないですよね」
戦争という重い史実の舞台だが、その悲惨さだけでなく「真剣に生きる」大切さを伝えたいとも語る。「もちろん戦時下とは違うかもしれなけど、今は今の問題がある。どんな時代でも生きる為の知恵を身につけ、強く生きていくことが必要。それには『笑い』も大切な事だと改めて気づいた。この舞台の経験は落語家としての僕にも新たな影響を与えてくれそうです」
懸命に生きようとする男たちの生き様を、涙と笑いと感動を織り交ぜて描く舞台、8月6日(木)から9日(日)東京・浅草公会堂、14日(金)から23日(日)愛知・中日劇場、25日(火)福岡・キャナルシティ劇場、27日(木)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。チケットは発売中。
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