〝神様超え〟も「道半ば」――。巨人・原辰徳監督(62)が、11日のヤクルト戦(東京ドーム)の勝利で、川上哲治氏の1066勝を超える、球団の監督通算勝利数1067勝に到達。球団単独トップとなった。

 試合後のセレモニーでは〝サプライズ〟として、元ヤンキース監督のジョー・トーリ氏、王貞治氏、長嶋茂雄氏からのビデオメッセージが流された。

 王氏は「巨人軍の監督は12球団の中でも大変プレッシャーが強い大変な仕事。私も経験してますけど、その巨人軍の監督で1067勝するっていうのは、本当に大変なご苦労があろうかと思います」とねぎらいつつ、「ぜひ今年も日本シリーズで戦いたいですし、また原監督は1100、1200、1300(勝)と目指して頑張ってほしいなと思います。とにかく、巨人軍の監督として大いに胸を張って、日本の野球界をけん引する意識を持って監督業に専念してほしいと思います」と力強くエールを送った。

 そして映像の最後には、原監督に帝王学を仕込んだ〝師〟長嶋氏が満面の笑顔で「原監督…おめでとう」のメッセージ――。日米レジェンドからのサプライズに胸を熱くしたのか、グラウンドでインタビューに応じた原監督の目は真っ赤。しかし、積み上げた1067勝について率直な感想を求められると、こう語った。

「野球の世界は1年1年が勝負です。いつでも真っ白い状態からスタートしてですね、まだ2020年の戦い半ばという部分においてですね、常に新鮮な気持ちでいられるというのが私の率直な気持ちです。数字を見るとですね、特に先輩として燦然と輝く『神様』川上監督を1つ超えられたというんでしょうか。信じられない気持ちです。まあ、いつでもフラットに自分が野球に取り組み、そして今日の勝負を取りにいくというその一念だけで積み重ねてきた。ですから、少しできたのかなという風には思っております」

 最後、今後への思いを問われた指揮官だが、やはり口を突いたのは「まだ戦い半ばです。浸っている余裕はありません」の言葉。しかし、最後はこう締めくくった。

「偉大な川上監督、大先輩を少し記録を超えさせていただいたということは心の中の宝物にして、さらに明日より精進、そして挑戦していきたいと思います」

 しみじみと感慨に浸ることなく、後ろを振り返らないのが原監督の信条。ナインらと記念撮影を終えた背番号83は、もう明日を見据えたかのようにさっそうとグラウンドを後にした。