先日、GMOが展開するNFTのマーケットプレイス「Adam by GMO」の会見に出席した。

NFTとは非代替性トークンの略。ブロックチェーン技術などを使い、販売者や所有者が、2次流通以降の収益を得られる仕組み。デジタルコンテンツの2次流通を整備するなど、アーティストなどのコンテンツホルダーの利益確保を目指すという。

資料を見ながら原稿を書くのだが、私自身も理解しているのかと聞かれると、技術的な話はほとんどわからない。会見に出席しているのも、多くはIT系メディアの記者ばかり。なぜ、芸能記者が出向いたのかというと、会見に登壇する出席者の中にお笑い芸人で絵本作家の西野亮廣(40)がいたからだ。

西野は、梶原雄太(40)とお笑いコンビ、キングコングとしても活動している。たしかこの会見が行われた日は、別の場所で梶原も芸能イベントに出席しており、本紙にはそんな関連づけた記事を書いた記憶がある。つまり、NFTが主語ではない。芸能面だからそれも致し方ない。

ところが、この会見での西野のしゃべりがすごかった。絵本作家として、著作権とのかかわりあいや、海賊版との戦い、どうやってマネタイズしてきたかなど、立て板に水という表現がまさにあうような、語り口だった。

あまりにも専門性が高いため、GMOサイドの幹部が「本当に、お笑い芸人さんですか」とツッコミを入れたほど。

西野の活動は多岐にわたる。私がよく聴くポッドキャスト「ボイシー」でも、西野はランキングトップを独走しているほか、有料のオンラインサロンもさまざまやっており、スナック西野は有名だ。ゲストを招き、お酒を飲みながら、語りあうという、テレビのトーク番組と似たような企画なのだが、有料の会員が数多くいるということは、お金を払ってでも聞きたい内容なのだろう。

もちろん、無料のテレビの内容に、お金を払う価値を見いださないというわけではない。

ただ、テレビに出ているから、映画に出ているから、CMに出ているから、CDが売れているから、出版物が売れているから、といった、既存のものさしだけでは芸能人の活躍の度合いが測れない時代が来ていることを実感した。