竹内涼真(28)が4日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた「鹿の王 ユナと約束の旅」(安藤雅司、宮地昌幸監督)初日舞台あいさつに出席した。「自分の声、あまり好きじゃないですけど」と口にしつつも、アニメ声優初挑戦作で評価され「良かったと言われると自信が湧く」と声優への再挑戦に意欲をみせた。

またイベントの最後に、安藤雅司監督から自身の似顔絵と演じたホッサルを描いたイラストをプレゼントされた。まじまじと見詰めると「これは、宝物ですね。似顔絵を描いてもらうと大体、似ていないんですけど…ほぼ僕。きれいに書いていただいた。安藤さん、すごいな…これは、熱いな。今日は、ちょっと飲んじゃうな」と感激していた。

「鹿の王 ユナと約束の旅」は作家・上橋菜穂子氏の小説「鹿の王」を原作に、1000ページを超える原作を「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「君の名は。」の作画監督を全て担った、アニメーターの安藤雅司氏が16年から製作を進め、監督デビュー作として完成させた。謎の病・黒狼熱(ミッツァル)を巡る物語だが、皮肉なことに新型コロナウイルスの感染拡大を受けて公開日が20年9月18日から21年9月10日に延期された後に、再延期された。

竹内は劇中で、謎の病の治療法を探す天才医師ホッサルを演じた。アニメ声優初挑戦について「もちろん難しいですし。でも役作りは台本から読み取れる情報と、監督が描いている絵…ビジュアル、完成形の絵が答えとしてある。そこから自分が作った役作りと、どういう声が出てくるか、聞きたいか準備した」と役作りについて語った。

ただ、アフレコ現場でプロの声優の演技を見て「アフレコ当日、声優さんが監督の求めるキーを一発で出してくるのが衝撃で、悔しくて何十回もやらせていただいた。そのことが楽しかった」と笑みを浮かべた。安藤監督は「竹内さんが『もう1回やらせて下さい』と言うんですよ。OKテイクが出るんだけど『もう1回やらせてください』と言って、やってもらうと、そちらの方が良いので、もしかしてもう1回と言うかも知れないので、待っていようと」と笑いつつ振り返った。竹内は「自分のエゴになるといけないけど、役とリンクしたくて。機会があるならば、やってみたいですよ」と意欲を見せた。

謎の病を描く原作と、コロナ禍の現実がリンクしていますが? と聞かれると「偶然というか(作品は)こういう今の状況とリンクする。意識せず作品作りをしますけど、無視できない」と答えた。その上で「僕が演じたホッサルは、病に向き合い原点に返ることで壁を超える。見つめ直すことは大事だし、今の状況に通じる。偶然にもリンクしてしまう部分が多い。作品が発信する隠れたメッセージを、それぞれの解釈で…それが日常に溶け込んで、何か勇気、糧になってくれると、すごくいいなと」と観客に呼びかけた。