北京五輪のスノーボードで、相次ぐ判定騒動のカギを握る審判統括者があっさりミスを認めた上に「マラドーナの〝神の手〟と同じだ」と開き直って大きな波紋を呼んでいる。

 英メディア「インサイダー」は、7日に行われたスノーボード男子スロープスタイル決勝で発生した問題を特集。カナダのマックス・パロットが金メダルを獲得したが、明らかな技術ミスが見逃されており、それが判定されていれば中国の蘇翊鳴(スー・イーミン)が逆転していたため大騒動に。スノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した日本の平野歩夢など今大会のスノーボードでは疑惑の判定が続出しており、その端緒となる問題となっている。

 同メディアは、スノーボード専門メディア「ホワイトラインズ」の報道を引用しながら「スノーボードの今大会のチーフジャッジが、彼の審査チームが男子スロープスタイルの決勝戦でミスを犯したことを認めた」と指摘。北京五輪でスノーボード競技の審判統括の要職にあるイズトク・スマティック氏は「我々はそれ(パロットのミス)を把握できなかった。我々が見るカメラアングルでは、きれいに見えたんだ。与えられた映像では(問題になっているプレーの)グラブがうまく実行されていた」と説明。結果的にジャッジが誤りだったことを認めつつも「これはライブスコアリングだ」と競技後すぐさま審査しなければいけない現場ではミスが起こり得ると強弁した。

 さらにスマティック氏は持論を展開。「マラドーナが1986年のメキシコW杯見せた〝神の手ゴール〟を比較する記事を見たが、まさにそういうことだった。審判はそれを見ていなかったが、決断を下したので後からそれを変えることはできない」と、サッカー界の世紀の大誤審として有名なアルゼンチン代表のマラドーナが〝ハンド〟で決めたゴールを例に挙げて、ミスはつきものだと開き直った。

 たしかにスポーツの判定でミスが生じるのは仕方ない側面もあるが、審判責任者が今後の解決策や対応も示さず居直ったことに波紋が広がっている。