学校給食をテーマにした映画「あしやのきゅうしょく」(白羽弥仁監督)の公開初日舞台あいさつが5日、都内で行われ、主演の松田るか(26)秋野暢子(65)が登壇した。

兵庫県芦屋市の市制施行80周年記念で制作され、松田演じる小学校に勤務する新米栄養士を通して描かれるヒューマンドラマ。芦屋市は、作りたてを味わってもらえるように自校式給食に加え、各校に1人専属で配属された栄養士によるオリジナルの独立メニューを展開するなど、給食への積極的な取り組みが注目されている。

松田は「全国で公開されうれしい気持ちでいっぱいです。芦屋市の取り組みは素晴らしい。子どもたちが健やかに育つように、世界的にも進んでいるこの給食を残していきたい」と話した。

給食はそれぞれの世代によって記憶も違う。秋野は「もう黒歴史ですね。脱脂粉乳がまずくて本当に飲めなかった。地獄の味ですよ。いまだに、牛乳が飲めません。あとは、関西だったので、鯨の竜田揚げをよく食べました」。沖縄出身の松田は「東京に来て、沖縄ナイズの給食だったんだと気付きました。イナムドゥチ(イノシシもどきの汁物)とかクーブイリチー(昆布を使った炒め物料理)が出ていました」。

栄養士が主人公だけに、子どもたちの好きなメニューと、栄養が豊富で食べさせたいメニューとの乖離(かいり)があるという。松田は「その乖離をどう捉えて埋めていくのかが、栄養士の課題なんだと思います」、秋野も「食べることは大事なことというのが作品のテーマです。カロリーはあるけど、栄養がない食べ物もいっぱいあります。子どもたちのために、いいものを食べさせるために、家庭でも考えることが大切。食育が大事なのだと思います。この作品を見て、家族で話し合っていただけたらうれしい」と話した。

白羽監督も「食育は全世界の問題です。子どもたちの未来のために、真っすぐな思いで作りました」と訴えた。