トラベルミステリーの第一人者で「十津川警部」シリーズなどで知られる作家西村京太郎(にしむら・きょうたろう)さん(本名矢島喜八郎=やじま・きはちろう)が3日午後5時5分、肝臓がんのため神奈川県湯河原町の病院で死去した。91歳。葬儀は近親者で行った。

後日、お別れの会を開く。喪主は妻瑞枝(みずえ)さん。

   ◇   ◇   ◇

「西村京太郎トラベルミステリー」シリーズを81年から全72作放送しているテレビ朝日は訃報を受け「西村京太郎さんが作り上げられた、十津川警部などの魅力的なキャラクターや、時刻表トリックに代表される緻密でありながら旅情感にあふれたミステリー作品の数々は、紛れもなく、長い歴史を持つテレビ朝日のサスペンスドラマの大きな礎となっております」と追悼のコメントを発表した。

同局で00年から十津川役を演じている高橋英樹(78)も「年末に湯河原からおみかんを頂戴し、まだまだお元気のご様子と思っておりました」と驚き「十津川警部は分身のような存在です。生みの親、京太郎先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます」としのんだ。

シリーズは当初、十津川役を主に三橋達也さん、亀井刑事役を愛川欽也さんが演じ、十津川は00年に高橋に、亀井は12年に高田純次に引き継がれた。トリックを解く際に十津川が亀井に言う「カメさん、我々も○○線に乗ってみようじゃないか」の決めぜりふは、まさに西村さんの現場主義と重なる。同局は沢口靖子主演の「鉄道捜査官」シリーズも00年から全19作放送している。

TBS系でも「西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ」を92年から放送。渡瀬恒彦さんや内藤剛志(66)が十津川、伊東四朗(84)や石丸謙二郎(68)らが亀井を演じてきた。フジテレビ系、テレビ東京などでも十津川が登場するシリーズが放送され、ミステリードラマの原作としても存在感は突出している。