アーティストのいとうせいこう氏、ジャーナリストの津田大介氏、立憲民主党の小川淳也政調会長、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏らが6日、都内でトークイベント「なぜ原発はなくならず、なぜ再生可能エネルギーはベースロード電源になれないのか?」に出席した。日本のエネルギー問題では、2011年3月11日に起きた福島第1原子力発電所の甚大なる事故で、原子力発電のリスクがクローズアップされた一方で、国内での再生可能エネルギー普及が進んでいないという問題を抱える。さらにはロシアのウクライナ侵攻で原発が攻撃対象となるなど、エネルギー政策の見直しが喫緊の課題となっている。

 自然エネルギー政策の第一人者として知られる飯田氏は「自然エネルギーだけでも十分にまかなえる」と断言。世界は再生可能エネルギーに急速にシフトしているが、このままでは日本は置いてけぼりのままだ。

 小川政調会長は党として「2050年には自然エネルギーを100%に」という立場を取っているが、自然エネルギーの普及に関しては「政治の決断が大事。具体的にどのくらいの年数で置き換えるという“絵”を描くことが大事ではないか。まだ、誰も示していない」と話した。政治の停滞が一因にもなっている。また、ロシアがウクライナの「ザポロジエ原発」を制圧したことに、津田氏は「実際に戦争になったら狙われるということが現実なものになってしまった」、いとう氏は「地球の瀬戸際だと思う。これでテロリストがまねることが現実化した」と嘆いた。

 飯田氏は「これでヨーロッパはエネルギーシフトが加速する。ドイツは3倍速で2025年までに、再生エネルギー100%にという目標を立てる。とにかく再エネ化を急ぐでしょう」と指摘した。エネルギーと安全保障の問題は密接な関係であるだけに、早急な国民的な議論が必要なようだ。