小泉純一郎元首相と細川護熙元首相が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)はロシアがウクライナの原発を攻撃したことに対し、ウクライナからの即時撤退と原発への攻撃中止を求める声明文をロシアのミハイル・ガルージン駐日大使に送付した。

 原自連は「ロシアの軍隊が、ウクライナのザポリジエ原発を攻撃し、制圧したとのニュースが
IAEAから発表され、広島、長崎、第五福竜丸、そして福島原発事故を経験した私たち日本人は黙ってはいられません」と切り出した。

「貴国が36年前に欧州を汚染し、8000Km離れた日本でも野菜などを汚染したチェルノブイリ原発を制圧したという侵攻直後のニュースにも私たちは驚愕しましたが、その上、欧州で最大規模の6機もの原発を有するザポリジエ原発を地元のウクライナの人々が人間の鎖で守る中、爆撃という方法で制圧したとの報道に慄然としています」と続けた。
 
 東日本大震災で福島原発は地震や津波で電源喪失から制御不能に陥り、メルトダウンを引き起こした。

「幸い放射能漏れはないとのIAEAの情報ですが、爆撃を受けた原発が連鎖反応的に損壊する危険性は大きく、攻撃による送電線の遮断など電源喪失が生ずれば、チェルノブイリ、フクシマの事故を上回る過酷事故が起こるのは必定」と懸念を示した。

「事故収束のために多くの人命が失われ、甲状腺がんをはじめとする多くの放射線症の犠牲者が欧州のみならず地球全体に広がります。独立国を武力で侵略することはもちろん、欧州全体ひいては地球規模での放射能汚染を引き起こすきっかけとなる原発への攻撃や制圧は人道上許されない暴挙であり、国際法でも禁じられている行為です」と断罪。

 そのうえで「原発を推進する貴国は、いみじくも『原発は自国に向けられた核兵器であり、原発を保持することは、自国の国防努力を全て無意味にする自殺行為である』ことを世界に実証してみせました。貴国には、今回の原発攻撃、そしてウクライナ侵略から一刻も早く撤退することを願ってやみません」と原発をも巻き込んだロシアの暴挙を非難した。