高橋ひかる：ドラマにバラエティーに幅広く活躍　根底にある思い　「WOWOWオリジナルドラマ 青野くんに触りたいから死にたい」でヒロイン役

　ドラマやバラエティー番組などで活躍する女優の高橋ひかるさん。3月18日から放送・配信されるWOWOWの連続ドラマ「WOWOWオリジナルドラマ 青野くんに触りたいから死にたい」では、主人公の恋人となるヒロイン・刈谷優里役で出演。優里は幽霊となった彼氏をいちずに思い続ける天然で猪突（ちょとつ）猛進なタイプで、高橋さんは「私も深く物事を考えないで感覚で行動しちゃうタイプ」と共感する部分が多かったという。昨年20代に突入し、今後さらなる活躍が期待される高橋さんに、今作の役への思いや20代の展望などを聞いた。

ウナギノボリ

インタビュー：筧美和子　30歳、原点のグラビアに立ち返った

　◇ヒロインと同じ“感覚派”　セクゾ佐藤勝利との初共演は…

　原作は、マンガ誌「月刊アフタヌーン」（講談社）で連載されている椎名うみさんのマンガ「青野くんに触りたいから死にたい」で、同誌の公式サイトに第1話が公開された直後、30万PVを突破した人気作。幽霊の彼氏と女子高生の「かなうはずのない許されざる恋」「死さえ分かつことのできない究極の恋」という胸キュンストーリーや、本格ホラー描写が展開される新感覚のホラーラブストーリーだ。主人公の青野龍平を人気グループ「Sexy Zone」の佐藤勝利さんが演じる。

　原作を読んで「今まで読んだことがないようなお話だったので、すごく引き込まれました。でも『どうやって実写化するんだろう？』というシーンもたくさんあったので、うれしい半面『実写化できるのかな？』というドキドキ感はありました」と語る高橋さん。今作で演じるのは、幽霊になった青野くんにも変わらず恋をし続ける猪突猛進なタイプだが、高橋さんは「共感できるところが多かった」という。

　「私も深く物事を考えないで感覚で行動しちゃうタイプなので、そういう“感覚派”なところは、すごく分かる。周りに言われて初めて自分の状況に気づくことって、私自身も多いんです。例えば優里は、お姉さんからひどい扱いを受けていたり、家族からつらいあたり方をされていて、『仕方ないことなんだ』とのみ込んでいるけど、人から見るとひどいことなんじゃないか……という。そういう、周りに言われないと状況を把握できていない、みたいなところは『分かる分かる』って。優里に寄せていくところももちろんありましたけど、共感できる部分はすごく多くありました」と語る。

　優里を演じるうえで、原作の世界観を大事にしたという高橋さん。役作りでも、原作からたくさんのヒントをもらったという。「原作ファンの方の気持ちになったとき、自分が想像する優里が飛び出てきたらうれしいな、より作品の世界観を楽しめるな、と思ったので。原作とは違ったエッセンスを加えるのも面白いと思うんですけど、今回は忠実に優里を表現したいと思ったんです。表情だったり、こうしゃべるんじゃないかなということだったり、マンガからひもとけるものがたくさんあったので、常にマンガを持ち歩いていました。家でも常に手が届くところにありました。受験生の参考書みたいに、ずっと身近にありました」と笑いながら明かす。

　原作の世界観を生かすうえで、意識していたのは「優里と青野、2人の空間はすごく幸せな空間にしたい」ということだった。「けんかもしてしまうし、普通のカップルと変わりないですけど、ただ触れることができない、という障害がある。幸せだからこそ、その障害がつらく、切なく見えてくると思うので、2人の空間をすごく大切に演じようと思いました」と振り返る。
　
　青野役の佐藤さんとは初共演。普段は明るく見られがちでも実は人見知りするタイプという高橋さんだが、「すごく話しやすい空気を作って、話しかけてくださって。みんなが勝利さんの言ったことについ笑っちゃうようなムードメーカー的な存在でした。みんなを常に笑顔にさせてくれるような、周りのことをすごく見ている方」と印象を話し、「例えば、私が青野くんが憑依（ひょうい）した優里を演じるときに『どう思いますか』と相談すると、同じ気持ちになって考えてくださって、自分だったらこうやるかな、とさっと提案してくれて。本当に周りのことを思って行動してくださる方で、助かっていました」とほほ笑む。

　◇ドラマ、バラエティー、MCと幅広く活躍　「いろんなものを得ていきたい」

　今作は、一風変わった胸キュンストーリーや本格ホラー描写が展開される“新感覚”のホラーラブストーリーだ。実は「意外と恋愛ドラマで演じる機会がない」という高橋さん。青春ドラマはこれまで2作品に出演したが、「どちらもちょっと変わった恋愛（笑い）」だったという。「双子の兄弟と恋する役だったり、SNSを通した自分を偽った恋愛だったり、ちょっと一癖ある恋愛モノが多くて。今回もまた、今までにないような想像したこともない世界観でしたが、そのぶんすごくワクワクしました」と笑顔をみせる。

　そんな高橋さんは、昨年9月の誕生日で20代に突入した。ドラマからバラエティー番組まで幅広く活躍している高橋さんは、20代の10年間をどう過ごすのか。今後の活動についての考えを聞いてみると、「いろんな方と出会って、いろんなものを得ていきたい」と多方面での活躍を誓う。

　「最近はサブMCとして少し進行役もさせてもらっていて。お話しするお仕事もラジオでさせていただいたり、ユーチューブだったり、そういう自分から発信できる面はもちろん強化していきたいです。お芝居も、これからもいろんな役にチャレンジして、作品に入っていない期間はバラエティーにチャレンジして……いろんなことにチャレンジしていきたいです」と意欲的に語る高橋さん。核にあるのは、好奇心旺盛であり続けたいという思いだ。

　「一つのことに縛られないような……。プロフェッショナルに一つのことに絞るのも、すごくかっこいいと思うんです。だけど、私の場合はいろんな方と出会って、いろんなものを得ていきたい。同じ芸能界で働く人であれど、俳優の諸先輩方、お笑い芸人さん、アナウンサーさん、いろんな方がいて、表現の仕方や感じ方、伝え方は全然違っていて、すごく面白いなって最近よく思うようになったんです。これからも10年、20年変わらず、このお仕事だけにかかわらず、新しいことには常にチャレンジしていきたい。好奇心旺盛でい続けたいなと思っています」と柔らかな笑顔を浮かべながら語っていた。

　ドラマは3月18日から毎週金曜午後11時半にWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。全10話。第1話は無料放送される。

　※高橋ひかるさんの「高」ははしごだか。