「角聖」の故郷からもエールだ。大相撲春場所で初優勝を果たした関脇若隆景(27=荒汐)は28日の会見で「実感は少しずつ。今場所は自分の相撲を取り切ることができたのでよかった」と改めて喜びをかみしめた。

 新関脇の優勝は1936年夏場所の双葉山以来、86年ぶり。若隆景の祖父・元小結若葉山は双葉山道場(のちの時津風部屋)に所属しており「角聖」と呼ばれた昭和の大横綱とは師弟関係にあった。そんな縁もあり、若隆景は「うれしい。祖父も喜んでくれていると思う」と感慨深げな表情を浮かべた。

 双葉山の名を再び世に広めた若隆景には、角聖の故郷である大分・宇佐市も熱視線を送っている。同市には双葉山の記念碑や愛用した化粧まわしなどを展示する「双葉の里」があり、偉業を後世に伝えている。市観光協会の担当者は「福島出身で震災を経験されるなど苦労された方なので、よかったと思って見ていました」と祝福。

 その上で、双葉山の偉業を掘り起こしたことに「喜ばしいこと。(弟子の孫という)因縁もあるので一層、双葉山関の名前も際立ちますしね。若隆景関は体は小さいですが、素人から見ても痛快な相撲を取る。最終的には一番上(の番付)を目指して頑張ってもらいたいですね」と感謝と激励の言葉を送った。

 大関挑戦の起点を築いた若隆景は「目指す目標だが、来場所が大事」。偉大な横綱に、どこまで近づけるか。