〝絵画アーティスト〟として注目を浴びる女優・光宗薫(28)が、蝉(せみ)をテーマに描いた水彩、油画、色鉛筆などの作品を展示した個展「SEMITOPIA」を24日まで、東京・銀座のヴァニラ画廊で開催中だ。インタビューに応じた光宗は、幼い頃から蟬に憧れてきたと明かした。その心理のウラには〝プロレス愛〟があったそうで、大ファンだというあの現役プロレスラーとの初対面を熱望した――。

 過去3度開いた個展は、2011年から独学で描いてきたボールペン画がメインだったが、今回の個展は水彩、油画、色鉛筆などに挑戦。きっかけは、その画力で何度も視聴者を驚かせてきた芸能人の才能査定バラエティー「プレバト!!」(TBS系)への出演だ。先月31日放送の「黒板アートコンテスト」でも、昨年に続き2度目の優勝を果たした。

「『プレバト!!』で水彩画やスプレーなどいろんな画材に触れることが増えて、面白さを感じて。いろんな画材を使うなら、一つのテーマで描きたいものばかり描こうと。今回の個展は昆虫、特に好きな蝉をテーマにして、1年間かけました」

 ポスターのメインビジュアルは2か月かけて制作したF100号サイズの「エデンの蝉」だ。

「薬師如来像のポーズをした蝉です。蝉はもともと神々しくて神聖で、美しくて、強そうで。かわいい面もあって、一番絵を描いてて楽しい。見た目の頼りがいのあるフォルムも好き。母が絵が好きで、小さなころから一緒に絵を描いてはいたんですけど、蝉は幼稚園から描いてましたね」

 ボールペン画を描き始めたのは18歳のころ。摂食障害に悩まされ「18から20歳の時期が一番ひどかった」と光宗は言う。それはモデルオーディションでグランプリを受賞し、人気アイドルグループ・AKB48に加入し、大きな注目を浴びた時期とも重なる。

「そのころから一層、絵を描くようになって。心の支えというか現実逃避ができる時間だった。絵を描くことで現実から逃げていた時期もしばらくあって。絵がたまっていく中で『個展を出してみたいな』とは思いましたけど、まさか現実逃避で描いていたものが、テレビなどお仕事まで広がるとは思ってなかった。すごくありがたいですね」

 ここ2年ほど摂食障害は落ち着いてはいるものの、現在も自身の心の弱さにコンプレックスがある。蝉を描けば描くほど「強くなりたい」という願望が、蝉への憧れとともに年々高まっているという。

「そこまで蝉に憧れがあるとは…」と記者が思わず口にすると、光宗は「よりワケが分からないかもしれないですけど…」と言いながら、蝉を描く自身の心理を〝プロレス愛〟と分析した。

「プロレスが大好きなんです! 蝉とプロレスラーはちょっと似ていると思うんですよ。ガタイの良さとか。私の強い肉体への憧れが、蝉を描いたり、プロレスを見に行くことで強さみたいなものをもらえる感じがする。プロレスラーの方が〝強くあろう〟とする姿も好きなんです」

 プロレス好きになったのは、絵を描いている最中に偶然、ユーチューブで全日本女子プロレスの動画を視聴したこと。それをきっかけに、男子プロレスの魅力にもどっぷりハマった。

 創作活動期間外にはプロレス観戦しているといい、ノアの潮崎豪選手の大ファン。写真を見ながら潮崎選手を描いた作品を一度だけ、個展に飾ったこともあるという。

 そこまで好きなら「紙上での初対面などはいかがですか?」と水を向けると「そんな…本当に…ただのオタクみたいになってしまうと思います…」と激しく動揺しながら、「どんな仕事よりも最優先します!」と言い切った。

 絵画アーティストとしての今後について「個展が終わったらまたボールペン画を描こうと思っていて、2~3年後に絵本を出版できたら。海外でも展示会ができたらうれしい」と前を向きながら、潮崎選手との具体的な対談日程を妄想していた。


 ☆みつむね・かおる 1993年4月26日生まれ、大阪府出身。2011~12年にAKB48のメンバーとして活動後、女優やモデル、画家として活動中。絵は11年から独学で描き始め、13年から定期的に個展を開催。「プレバト!!」(TBS系)で描いた作品が、千葉・富里市の市政20周年記念公式キャラクターに採用されるなど、〝絵画アーティスト〟としても注目されている。