DeNAに複数人のコロナ陽性者が出たため、7日の試合開催が中止になった阪神では、低迷する現状を打破するべく、矢野燿大監督(53)がナインのメンタルを刺激する策に打って出た。

 練習開始前にミーティングを敢行。自己啓発等、多数の著書がある実業家・中村文昭氏を招き「いろいろなことを言ってもらった」と約1時間、ミーティング形式での講話に全員で耳を傾けたことを明かした。

 このタイミングで行った意図はもちろん、現状打破を目的としたもの。「気持ちの部分だったり、新しい気づきだったり、そういうものを伝えてもらった」(矢野監督)と開幕ダッシュに失敗したことで、ナインの士気がこれ以上下がらないよう、ひと工夫を施したという。

 その内容は「この状況は、何かを成し得るために用意されたチャンス」「できない理由を言うからできなくなる。夢をかなえる人は『こそ』と言い、だからこそ今できることを全力でやる」といったポジティブ思考の再認識。現在の苦境は、あくまで未来の成功への序章にすぎないというマインドチェンジだ。

 井上一樹ヘッドコーチ(50)も、開幕ダッシュに成功した昨春と今春の打線を例に心・技・体の「心」の部分の重要性を唱えた。

「(今年は昨年に比べ)振りが鈍くなったっていうふうに見えてしまうのは、あっち(他)のチームより、腕力がない、素振りの数が少ないからではない。結局、迷いがあるから。(昨年は)迷いがない。しかも勝っているから余裕がある。今回みたいに勝ちがつかなくなると、余裕がなくなる。負の連鎖になる。そこを早く払拭してやらないと」

 7日現在でまだ1勝、12球団最速で10敗を喫した瀕死の虎は、果たして〝超・前向き〟な言霊のシャワーで息を吹き返せるのか…。