いよいよ歴史的瞬間が迫った。WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太(36=帝拳)とIBF同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)の王座統一戦(9日、さいたまスーパーアリーナ)を前日に控えた8日、帝拳ジム本田明彦会長は安堵の表情を浮かべていた。

 同イベントは日本ボクシング史上最大と言われ、1990年2月の世界ヘビー級統一王者マイク・タイソン(米国)とジェームス・ダグラス(同)に匹敵する20億円規模。しかし、昨年末には新型コロナウイルス禍で延期となった。大会をプロモートした本田会長はゴロフキン陣営と長期間にわたって交渉を続け、国が指定するコロナ対策に従って宿泊施設の確保、輸送手段や会場の入場制限の調整を行ってきた。

 この日、村田とゴロフキンはともにコロナの抗原検査で陰性。計量も一発パスとなると、ここまでの道のりを振り返った本田会長は「奇跡だね」と笑顔を見せた。チケットは最高額22万円から売れ、会場のさいたまスーパーアリーナには最大1万6000人の観客が入る予定。採算は取れたというが、本田会長は「途中からビジネスなんて考えなかった。成立させることだけ」と本音を吐露した。

 最強男のゴロフキンが日本で試合をする〝奇跡〟のイベント。ようやく執念が実り、あとはゴングを待つだけだ。