世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭事務局が14日、ラインアップを発表し、倍賞千恵子(80)の主演映画「PLAN 75」(早川千絵監督、6月17日公開)が「ある視点」部門に出品された。

1961年(昭36)に映画「斑女」でデビューした倍賞にとって、主演映画がカンヌ映画祭に出品されるのは初めて。倍賞は「早川監督、おめでとう。粘り強く頑張った甲斐がありましたね。私も『PLAN 75』に出演できたことをうれしく思っています。この映画を通して『どう生きるか?』を考えるきっかけになればと願っています」とコメントした。

「PLAN 75」は、韓国映画「ベイビー・ブローカー」がコンペティション部門に出品された、是枝裕和監督(59)が初めて総合監修を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の1編「PLAN 75」を、早川千絵監督が新たに構築、キャストを一新した、オリジナル脚本による自身初の長編映画。超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自ら生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた。

市役所の<プラン 75>の申請窓口で働く岡部ヒロムを演じた磯村勇斗(29)は「とても光栄であり喜ばしい限りです。改めて、早川千絵監督の作品に、俳優部として参加させて頂けたことに感謝しています。早川監督、本当におめでとうございます。『PLAN 75』が国境を越え多くの方に届けられることがうれしいです」とコメントした。

成宮瑶子役の河合優実()は「この度は『PLAN 75』をすばらしい場所に選んでいただき、本当にありがとうございます。カンヌということばの響きは、今の自分がたどり着く場所としてあまりにも現実味がなく、このとてもよろこばしい報せを聞いた今もまだ実感がありません。早川千絵監督と倍賞千恵子さんをはじめ、この映画に力を尽くしたすべての人が残そうとしたものが画面に誠実に映っていること、そしてこの映画が観る人の心と映画の世界に新しい扉を開くような作品になってゆくことを強く願っています」とコメントした。

脚本も担当した早川監督は「喜ばしい知らせを受け、この映画にあらゆる形で関わってくださった1人1人の顔が浮かびました。感謝の気持ちとともに、多くの方に見ていただける幸運をかみしめています」とコメントした。

日本人監督の作品が「ある視点」部門に出品されるのは、17年の黒沢清監督「散歩する侵略者」以来5年ぶり、日本人女性監督としては、15年に「あん」がオープニング作品に選ばれた河瀬直美監督以来2人目。近年の受賞は、黒沢監督が15年「岸辺の旅」で監督賞、16年には深田晃司監督が「淵に立つ」で審査員賞を、それぞれ受賞している。