20年2月に上演された歌劇「400歳のカストラート」の再演が決まり26日、都内で、カウンターテナー藤木大地(41)や朗読を担当する大和田獏(71)大和田美帆(38)親子らが出席した。

今作はカウンターテナー1人、朗読2人、演奏家5人による小規模なオリジナルオペラ。初演時から一部の演奏家は変更されるものの、主要出演者は初演時と同じメンバー。6月26日に東京文化会館で開催されるほか、7月3日には愛媛・西条市、10日には三重・四日市市でも開催される。

獏は「オペラに詳しくないけど、藤木さんの歌声をテレビで見て魅せられました。稽古をしていくうちに、乗せられ、影響しあって感情が生まれ、想像以上の仕事ができました」、美帆も「オペラやクラシックは敷居が高く、未知の世界の仕事でした。でも、音楽が私の中に入ってくれて、一緒になり、知らない場所に連れていってくれました」と振り返った。

大和田親子にとっては、この舞台の初演後の20年4月に、獏の妻で女優の岡江久美子さんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった。コロナ禍に加え、戦争でも人が亡くなる現在に、獏は「人間はいつかは死にます。でも、その死は奪われるものであってはならないと強く思います。命の重みや平和への強い思いが自分にはあります」、美帆も「コロナや戦争で人びとがつらい時ではありますが、芸術は、人の顔を2度でも3度でも上げさせ、前向きにするものだと思います。美しい音楽の力で、前向きになっていただけたらうれしい」とそれぞれ語った。