放送界の優秀番組・個人・団体を顕彰する「ギャラクシー賞」の第59回(2021年度)の各部門入賞作品とテレビ部門の特別賞・個人賞などが発表され、同特別賞にNHKドラマ「恋せぬふたり」が選ばれた。

 ギャラクシー賞の審査は、NPO法人・放送批評懇談会の会員から選ばれた選奨事業委員会が担当。各部門の大賞、優秀賞、選奨は6月1日開催の贈賞式で決定、発表される。

「恋せぬふたり」は今年1~3月、月曜夜に「よるドラ」として放送された。ダブル主演の岸井ゆきの、高橋一生の関係描写を通じて、「アロマンティック」(恋愛感情を抱かない)「アセクシュアル」(性的に惹かれない)という言葉が注目される現象を呼んだ。

 選評は「アロマンティック・アセクシュアルの男女の同居を通して、従来の価値観に囚われない新しい家族のあり方を示しました。これまで多くのドラマが恋愛の成功や結婚をゴールとして描いてきました。しかし本作は、恋をすることが誰にとっても幸福であるという固定観念を覆し、パターン化した家族関係、人間関係の描写に一石を投じたと言えます」と高く評価。「ドラマ史上画期的な作品としてその功績を称え、特別賞を贈ります」とした。

 テレビ部門個人賞にはNHK大河ドラマ「青天を衝け」で徳川慶喜を演じた草彅剛が選ばれた。

 選評は「強く心に残る徳川慶喜像を見せてくれました。内面が滲み出る表情や静かに抑制された台詞など、草彅さんの繊細な演技により、これまで光を当てられることが少なかった謎多き江戸幕府最後の将軍がひとりの人間として立ち上がりました」と評価。「後世に残る徳川慶喜像を作り上げた見事な表現力に敬意を表し、個人賞を贈ります」とした。

 テレビ部門入賞作品は14本。ドラマでは松坂桃李主演「今ここにある危機とぼくの好感度について」(NHK)、松たか子主演「大豆田とわ子と三人の元夫」(関西テレビ)、吉高由里子主演「最愛」(TBS)が入った。