競泳男子の東京五輪代表・瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)が退路を断ち、新たなスタートを切った。

 金メダルが期待された東京五輪では不完全燃焼に終わった。「一生懸命やって達成できなかったときの絶望感が怖い」。新型コロナウイルス禍の延期を理由に、どこかで甘えている自分がいることに気がついた。「やり切ったという水泳人生にしたい」。今春から東海大に拠点を移し、2016年リオ五輪女子200メートル平泳ぎ金メダルの金藤理絵氏を育てた加藤健志コーチのもとで練習に励むようになった。

 絶対的な練習をこなして頂点に駆け上がった金藤氏を引っ張ってきた加藤コーチの練習が厳しいことは、かねて何度もアドバイスを受けてきた瀬戸も分かっていた。現在はまだ基礎練習の段階だが、1日10時間以上の練習をこなす日もあるという。それでも「キツいけど楽しく練習ができている」と笑顔。確かな手応えを感じているからこそ、充実の日々を過ごしている。

 28日に開幕したアジア大会代表選考会兼日本選手権(横浜国際プール)の男子400メートル個人メドレーでは、4分9秒07の好タイムをマークして優勝。「非常にいい泳ぎができた。体がしんどい中でもかなりの好タイムで泳げてよかった」と振り返った。

 パリ五輪まで残された時間は約2年3か月。五輪の借りは必ず五輪の舞台で返す。