〝業師〟が元気いっぱいだ。大相撲夏場所4日目(11日、東京・両国国技館)、幕内宇良(29=木瀬)は幕内琴勝峰(22=佐渡ケ獄)を寄り切って3勝目(1敗)。頭を下げて飛び込んだ宇良は、左足を狙うトリッキーな動きで相手の体勢を崩す。そこから左を差し、一気に土俵外に退けた。文句なしの内容に取組後は「勝ててよかったです」と納得の表情だった。

 これで2日目から3連勝と好調を維持。宇良は「まだ4日目。序盤戦の一部にすぎないので」と控えめだが、身近に発奮材料がある。東大から初めて力士になった同部屋の須山(24)の存在だ。

 この日、前相撲で〝2連勝〟した須山は3度目の受験で東大合格を果たし、入学後に相撲を始めるなど異色の経歴を持つ。宇良自身、関学大出身の大卒力士だが、弟弟子の印象については「相撲を学ぼうという姿勢が(ある)。理論派というか人の意見をいっぱい聞き出そうとする意欲が東大らしい。(研究熱心に)感じる」と語る。

 部屋の兄弟子らに〝質問攻め〟することもあるようだが「自分は聞かれたことはないですね。この人は違うかなと思われてるかもしれないですね(笑い)」と自虐交じりに明かす。その一方で、コミュニケーションがないわけではなく「世間話はよくしますね。こちらも東大に興味がありますし、向こうも相撲のことに興味があるでしょうし。(今後が)楽しみですね。刺激になります」と、今場所の原動力になっていることは間違いない。

 注目の新人との相乗効果でさらなる飛躍を目指す。