付け入る隙を与えない快投だった。ソフトバンクの東浜巨投手(31)が11日の西武戦(ペイぺイ)で史上84人目(95度目)のノーヒットノーランを達成した。球団では2019年の千賀以来3人目の快挙となった。

 最速151キロの直球に決め球のシンカーもさえ、西武打線から凡打の山を築いた。2回に中村に四球を与えたものの直後の栗山を遊ゴロ併殺。5回の山川を歩かせた後には中村を遊ゴロ併殺に打ち取った。打者27人でのノーノー達成。球数はわずか97球だった。

 お立ち台では「疲れました。でも、こんな気持ちのいい疲れは久しぶりです。まさか自分ができるとは思ってもみなかった。まだ信じられないです」と笑顔を浮かべた。

 2012年のドラフトで鳴り物入りで即戦力として入団。最初の3年は3勝、2勝、1勝とプロの壁に苦しんだ。そんな中で工藤前監督のもとで周囲が感心するほどのハードな練習量をこなし、ブレない信念で自らを高めていった。その努力は2017年に16勝で最多勝に輝き結実する。

 翌年以降、故障に泣かされるなど逆風に見舞われた。規定投球回、2桁勝利からも遠ざかった。一昨季は開幕投手を務め9勝2敗、防御率2・34の好成績で復活したが、シーズン最終盤に右肩の違和感で戦線離脱。さらにオフに新型コロナウイルスに感染してしまい調整が大幅に遅れる憂き目にあった。昨季は4勝に終わっていた。

 その悔しさを胸に…。今季に向けてはオフから「年齢的に若い子を連れてやれたらいいが、僕の場合はまだそこまで行っていない。今年に関しては自分と向き合って過ごす」と宣言。自宅を離れ〝住み込み〟の形でタマスタ筑後で黙々と汗を流した。徹底的に自らを追い込んだ。「2桁と規定投球回は当たり前のようにクリアしないといけない」との力強い言葉通りに快投を続けている。

 これでハーラートップタイの4勝目(1敗)。東浜の〝復肩〟でチームは7連勝。首位・楽天との差は3・5ゲームに縮まった。