完全復活のノロシだ。巨人の中田翔内野手(33)が14日の中日戦(東京ドーム)で2点を追う7回、今季2本目通算7本目となる4号逆転満塁弾を左中間スタンドに叩き込んだ。値千金の一発で巨人が7―6で3連勝を飾った。

 自分への悔しさがバットに込められた。4番・岡本和が申告敬遠となり回ってきた一死満塁の好機。カウント1―1から中田は中日・祖父江の3球目135キロスライダーにバットを振り抜いた。技術の詰まった打球は左中間スタンドに突き刺さった。

 2戦連続で雄叫びを上げたヒーローにベンチはお祭り騒ぎ。前夜のプロ初犠打、復活の3号2ランから「SHOW TIME」は継続していた。

 苦しい展開だった。先発シューメーカーが5回4失点と踏ん張れず。打線は初対戦の高橋宏の前に5回まで無失点に抑えられた。最大5点差を引っくり返す劇弾に中田は「まず本当、ホッとしていますし、ファンのみなさんの声援のおかげだと思います。ありがとうございます」とお立ち台で頭を下げた。

 この日、中田は6回無死満塁の好機で二飛に倒れるなど、3打数無安打2三振。「絶対なんとかしてやろうという気持ち」と復権のチャンスを逃さなかった。原監督も「起死回生でしょうね」と目を見開くと「日々、挑戦しながら、まあ結果も少しずつ出てきているという点において、非常によかったと思いますね」と中田の復調を喜んだ。

 4月22日に首痛と打撃不振により二軍落ち。日本ハム時代から指導を受けた小笠原打撃コーチと反復練習を行った。「(降格は)もちろん悔しかったですけど結果の世界なので当たり前。ムダな時間ではないと思ってやってきたので、今日この場に立ててよかったです」と胸を張った。
 
 ようやく掴んだ完全復活への足がかり。同じ失敗を繰り返すつもりはない。中田は「日ハム時代からそうですけど、こうやって油断して調子に乗ってまたアカンくなるっていうケースもあるので、日々精進してやっていきたいと思います」とカブトの緒を締めた。これまでの経験をパワーに換えて中田がチームの勝利に貢献していく。