ノーヒッターとして、故郷に錦を飾る。現在3連敗中のソフトバンクは、沖縄で17日から西武戦(セルラースタジアム那覇)に臨む。

 チームとして心機一転を期すカード初戦の先発は、前回の同戦(ペイペイ)でプロ野球史上84人目の無安打無得点試合を達成した東浜巨投手(31)。開幕から安定したパフォーマンスを発揮して、ここまでリーグトップタイの4勝を挙げている。首脳陣は来週24日から始まる交流戦の3週連続6連戦も念頭に、好調な右腕を中5日で「週アタマ」の火曜日に前倒し起用。ただ、戦略的意図に加えて、野球熱の高い沖縄、凱旋登板に意欲を示す東浜を思い、天候不順も視野に入れた上での異例シフトを組むことになった。

 現地・沖縄は17日夕方まで断続的な雨予報(16日時点)。東浜らが参加した16日の投手指名練習を見守った森山投手コーチは、17日のゲームが雨天中止になる場合のローテーションについて包み隠さず明かした。「東浜をスライドさせます。やれる、やれないの前から言うのも変だけど、そこは本人も分かっている」。18日は雨予報ではないが、有事も含め何が起こるか分からない。天候に恵まれれば17日には凱旋登板が実現し、恵まれなくても18日が残っている。右腕のため、ヒーロー凱旋を楽しみにしている県民のため、投げるチャンスを広げる態勢を整えた。

 快挙達成から1週間。さらに沖縄県人にとっては特別な「本土復帰50年」の節目も重なった。かねて、戦没者に深い哀悼の意をささげてきた右腕。「(沖縄の現実を)目の当たりにすることも多い。昔の人たちの積み重ねっていうところも感じる」。

 沖縄出身者初のノーヒットノーラン達成の次の登板が凱旋試合――。「この1週間、切り替えて調整できた。気持ち的にはやりづらさはあるが、そこは考えずやっていきたい」。偉業ゆえに心身の疲労は普段よりも大きかった。それでも、特別な思いを胸に故郷のマウンドで雄姿を届ける。