ノーヒットノーランを手土産に〝凱旋〟した地元・沖縄で堂々の快投を見せた。ソフトバンク・東浜巨投手(31)が17日の西武戦(沖縄セルラー)に先発し、7回を2安打無失点に抑えた。

 ノーノーを達成した前回11日の快挙から中5日。初回に2安打を許したものの、中村から三振を奪いピンチを脱出すると乗ってきた。2回以降は再びノーヒット投球。打線も無得点でハーラー単独トップの5勝目とはいかなかったが、スコアボードに0を並べた。

 2017年に16勝を挙げて最多勝に輝いて以降、故障に泣かされるなどして苦しんできた右腕。現在21イニング連続無失点で、今季は4勝1敗、防御率2・09と好投を続けている。これまでの逆境を乗り越えて完全復活を遂げようとしている。

 沖縄尚学時代の恩師である比嘉公也監督は、高校当時から見せていた東浜の〝才能〟についてこう話す。「自分自身をしっかり把握していて(今の自分にとって)やるべきことが何なのか分かっている。それが強みだと思います。走ることなのか、ウエートトレーニングなのか、投げることなのか。そしてそれを周りから見たら抜いたらいいのにと思えるほど徹底できることだと思います」

 2017年に最多勝に輝いた際もそうだった。工藤前監督からも「お前の場合は簡単。必要なのはパワー」と指摘を受け、前年からウエートトレと体幹トレを先発ローテで回りながら〝常時筋肉痛状態〟で行った。自らを知り、貫いたことが飛躍につながった。

 そこからは度重なる故障にも見舞われ、ようやく本来の投球を見せた一昨季もシーズン終盤に右肩痛で離脱した。昨季も思うような投球ができなかった。そんな中で今季はオフの期間に徹底して土台作りをすることをテーマに掲げて自主トレを過ごした。

 自宅を離れ、筑後のファーム施設に〝半住み込み状態〟で通って汗を流した。右肩の状態を知るトレーナー陣に見守ってもらいながら、自らと向き合ってハードなトレーニングを行った。その成果が確実に出ている。

 前回、那覇での登板は2019年5月21日の西武戦。5回途中4失点で黒星を喫した。故障に苦しんだシーズン。その後に右ヒジの手術を行っている。悔しい思いの残っているマウンドでもあった。

 今回の登板を前にしてこう力を込めていた。「いい試合、いい勝負を沖縄県民の皆さんに見せることができなかった悔しい思いがある。今年に関しては体もしっかり作れてきている。1球、1球しっかり力を込めて投げたい。それを見て楽しんでもらえたら」

 高校の後輩でもある与座との投げ合い。宣言通りの投球で沖縄のファンを沸かせた。