鋼の錬金術師:“マスタング”ディーン・フジオカ&“ホークアイ”蓮佛美沙子 名コンビが明かす思い

映画「鋼の錬金術師 完結編」に出演したディーン・フジオカさん(左)と蓮佛美沙子さん
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映画「鋼の錬金術師 完結編」に出演したディーン・フジオカさん(左)と蓮佛美沙子さん

 荒川弘さんの人気マンガ「鋼の錬金術師」が原作で、人気グループ「Hey! Say! JUMP」の山田涼介さんが主演を務める実写映画シリーズの完結編が、「鋼の錬金術師 完結編 復讐(ふくしゅう)者スカー/最後の錬成」(曽利文彦監督、5月20日・6月24日公開)の2部作として2カ月連続で公開される。前作から続投するロイ・マスタング大佐役のディーン・フジオカさんとリザ・ホークアイ中尉役の蓮佛美沙子さんの2人に、5年ぶりの続編公開への思い、それぞれのキャラクターの魅力と改めて演じてみての印象、思い出深い共演シーン、原作が愛され続けている理由などを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇「“無能”呼ばわりが最高に印象深い」

 --5年ぶりに実写化続編が公開されますが、率直なご感想を聞かせてください。

 ディーン・フジオカさん 時の流れの速さや、なかなか簡単には進まないという挑戦する難しさみたいなものも感じましたが、この壮大な物語だからこそ、長い年月が必要だったのかなとも思います。出来上がった作品を一観客として見させていただいた時、とても興奮する躍動感だったりスケールの大きさだったり、いろんな物語を一つの作品の中で見られたと思えてうれしかったです。

 蓮佛さん なかなかないですよね。でも前作の時から「続編やれたらいいね」という話は出ていたので、最初に今回のお話を聞いた時は「やっと……!」って思いましたね。

 --改めてマスタング、ホークアイを演じられてみていかがでしたか。

 蓮佛さん あまりブランクを感じませんでした。わりとスッと元に戻れた印象ですね。イシュヴァール戦という回想からクランクインしたのですが、昔の大佐に会えている感じで不思議な感覚がありました。「大佐もこういう時があったのか」と、ホークアイとして思いながら芝居していました。

 ディーン・フジオカさん 自分がロイ・マスタング役をやらせていただいて、焔(ほのお)の錬金術を使えるようになったきっかけが、さらに過去にさかのぼったところにあることに、この物語の奥深さを感じます。そのさかのぼった過去に対してもとても興味を持ちましたね。

 --お二人は共演シーンが多いと思いますが、特に思い出深い共演シーンがあれば教えてください。

 ディーン・フジオカさん やっぱり“無能”呼ばわりされたところが最高に印象深いですね(笑い)。

 蓮佛さん あはは。なかなか言えないですからね。「無能ですから下がっていてください」というのは原作でも個人的に好き。台本をいただいたときは「ここをやれるんだ!」と思った場面でもあったので、すごくうれしかったです。完成した映像を見てちょっと興奮しました(笑い)。

 ◇実写版は「山田君がいなかったら成立しなかった」

 --お二人が感じるマスタングとホークアイの魅力は。

 ディーン・フジオカさん 彼が何を理想として追い求め、現実的にそれをかなえるために難しい決断をしておかなきゃいけない。それでもやり抜くっていう覚悟を決めたという、何も確証はないけど必ずそこに光を見いだすという決意みたいなものを強く感じますし、そこに引かれますね。

 蓮佛さん ホークアイは基本的に冷静沈着で感情を表に出さない、ちょっとドライな面もありますが、何より好きなのが大佐に対する“忠誠心”。「復讐者スカー」でも少し描かれていて、「この人について行こう」と思える基盤があり、大佐のことを思って守って、「この人だったら世界を変えてくれるかもしれない」という思いがある。ほかのキャラクターもそれぞれの覚悟がありますが、ホークアイとしては大佐に対して自分の未来をすべて託すぐらいの覚悟というのがキャラクターとしての魅力かなと思っています。

 --ご自身以外の出演者で「鋼の錬金術師」の世界観にマッチしていたと感じたのは誰ですか?

 ディーン・フジオカさん お二人いて。(アレックス・ルイ・アームストロング少佐役の)山本(耕史さん)は、初めて見たときのインパクトたるやすごい。よく成立させたなと思います。山本さんの役作りで現場でもずっと筋トレなどをやっていましたけど、(上半身)裸になるからどうしようもないじゃないですか。服を着ていれば肩パッドを入れることもできますが、あれはすごいですね。

 それと、やっぱり山ちゃん(山田さん)。エドワードがエドワードたる必要な要素はたくさんあると思いますが、山ちゃんがドンピシャできているというのは改めて感じましたし、キャスティングディレクターすごいなと思いました。

 蓮佛さん 私も山田君。(エンヴィー役の)本郷(奏多)君も言っていましたし、私もそう思っているのですけど、山田君がいなかったらこの企画は成立しなかったのでは。あと個人的には内野(聖陽)さんの“お父様”。現場でお会いした時にお父様の中にあるいろんな感情などが感じられ、単純に感動しました。山ちゃんと内野さんは普段似ていると思わないのですけど、作品の中で見ると似ているなって。キャスティングすごいなって思いました。

 ◇2人が語るハガレンの魅力

 --改めて「鋼の錬金術師」という作品が愛され続けている理由は何だと思われますか。

 ディーン・フジオカさん その時代に、そのタイミングでこういう作品が世に放たれて、多くの人の心を打ち抜いた、響いたというのにはやっぱり理由があるはずです。そこに最初は興味を持って原作を読ませていただきました。

 年齢やバックグラウンドの違いを感じさせないような普遍的なメッセージが強く、“愛の物語”というか「大切なものは何だろう」と問いかけてくるような骨太な筋と、1人1人のキャラクターの魅力ですよね。そのバランスが絶妙だなと原作を読んで思いました。

 蓮佛さん 今回完成したものを見た際、もちろんフィクションなのですけど、この世界にはエドやアルやウィンリィのような人が必要だと強く感じました。それぞれが覚悟を持って明るい未来、何とか良い未来にしようとあきらめない心を持って進んでいく。その情熱が多くの人たちの心に強く残るのだと思います。こういう作品が愛されることに安心するじゃないですが、良かったなって。世界で起きていることとリンクするような部分も多い題材だからこそ、やっぱりエドや大佐たちのようなヒーローが必要だと改めて思いました。みんなの覚悟だったり情熱だったりというものが、それぞれにたくさんの人に伝わって、それが魅力なのかなと思います。

 --最後に、それぞれが演じられているキャラクターの特に注目してほしいポイントを教えてください。

 ディーン・フジオカさん 自分は無能シーンが本当に好きで、見たときに自分で笑っちゃったぐらい。その後、そう言われたことをエドに対して言うみたいな“回収”もあり、コメディーリリーフ的なロイ・マスタングというキャラクターの新たな一面が発揮されているのではと思っています。注目していただければ。

 蓮佛さん 完結編では大佐を引き留めるところが、感情面ですごく自分の中で大事にしていたシーンなので見ていただきたいです。あとエドにイシュヴァール戦の説明をしながら銃を組み立てる場面があり、地味に難しく(撮影の)半月ぐらい前から家に本番で使う銃を持ち帰らせてもらい毎日練習しました。そのシーンも見ていただきたいです。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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