〝四死球地獄〟は改善されるのか――。巨人は24日に開幕する交流戦の前までをリーグ2位で終えた一方、桑田真澄投手チーフコーチ(54)が最重要課題に掲げてきた「制球力アップ」は停滞したままだ。相手に献上した四死球の数はリーグワーストとなる「181個」で、1試合平均も「3・7個」。その要因は投手陣の技術不足だけでなく、あるチーム方針の存在との見方も浮上している。

 Aクラスでも課題は山積みだ。49試合を終え、チームの総失点は総得点の「189」を上回る「194」。防御率3・39はリーグ4位の成績で、V奪回へ投手陣の安定化は不可欠だろう。中でも大きな不安要素は、最大の懸案が一向に改善されない点だ。

 昨秋から投手陣の総責任者となった桑田コーチが、真っ先に課題に挙げたのは「制球力の向上」だった。昨季の与四死球が、リーグワーストだった広島(528)とほぼ同じ「520」。1試合平均は9回打ち切り制の昨季が「3・64」だったのに対し、今季も「3・69」で大きな変化は見られない。しかも、DeNAを除く4球団はいずれも1試合平均が3個未満。いかに四死球を連発し、試合運びを難しくしているかを物語る。

 桑田コーチとしては、さまざまな取り組みを通じて課題の克服に努めてきた。ブルペンでは投手に投げるコースを指定させた上で、連続して投球する「ライン出し」と呼ばれるメニューなどを実践。開幕ローテに堀田や山崎伊、新人の赤星と多くの新顔を送り込めたが、長いシーズンを勝ち切るにはやはり「制球難」の解消は避けて通れない。

 その要因は、単なる投手陣の技術不足だけなのか。実はそれだけではないとの見方もある。というのも、今季からチーム方針として投手による〝捕手指名制〟を廃止。原辰徳監督(63)も「リリーフにしても、先発にしても『この人が投げる時に、この人が受けなきゃダメだ』というようなことはやめよう」と明かしていた。

 例えば、メルセデスの事実上の〝専属捕手〟は大城だった。しかし、今季は先発した7試合のうち4試合で小林とバッテリーを結成。本人は「特に(大城と小林の)どちらが、という違いはない」と話していたものの、昨季までの違いに戸惑う投手がいても不思議ではない。

 どちらにせよ、投手陣も〝新バッテリー〟も発展途上の段階。誰とでもスムーズにコンビを組めれば、チームとしてさらにステップアップできる。22日は先発した高橋が阪神の下位打線に四球連発の自滅投球で二軍落ち。いかに無駄な四死球を減らし、チームを安定軌道に乗せられるのか。桑田コーチの手腕が試されている。