目指すは世界の頂だ。カーリングの日本選手権男子決勝(29日、北海道・アドヴィックス常呂カーリングホール)、SC軽井沢クラブが札幌国際大に11―7で快勝。5年ぶり9度目の優勝を飾り、新設されたパンコンチネンタル選手権(11月・開催地未定)の日本代表に決まった。

 誰にも負けない〝カーリング愛〟がサード・山口剛史(37)の原動力になっている。2018年平昌五輪に出場した4選手のうち、今もチームに残るのは山口のみ。ゼロからのスタートを切る中で、思うような結果を残せず「この4年すごくつらかった」と当時を回想。優勝後には大粒の涙を流しながらも「スポンサー、クラブ、家族、みんなが僕たちのチャレンジを応援してくれて今がある」と感謝の言葉を述べた。

 五輪への思いは誰よりも強い。2月の北京五輪は、男子日本勢の出場がなかったものの、解説者として現地入り。関係者によると「カーリングを1人でも多くの人に知ってもらいたい」との思いから、ハードスケジュールにも嫌な顔を一切せずに、銀メダルに輝いた女子日本代表ロコ・ソラーレの奮闘ぶりを的確に解説。山口の解説には、テレビ関係者からも賛辞の声が相次いだ一方で、競技者としても大きな刺激を受けた。「4年後の五輪は必ず出ます」と周囲に力強く宣言し、帰国後はより一層練習に励んだ。

 日本は女子勢に比べて、男子勢が世界に遅れをとっているのが現状だ。「五輪も目標だが、世界の上位で活躍できるようになりたい」。主役の座はもう譲らない。次は男子勢の番だ。