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『ゴジラ-1.0』山崎貴監督、『オッペンハイマー』へのアンサー映画「アイデアはある」将来的な実現へ意欲

取材会に登場した山崎監督
取材会に登場した山崎監督

 第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した映画『ゴジラ-1.0』の4K Ultra HD Blu-ray・Blu-rayの発売記念取材会が12日、「白組」の調布スタジオで行われ、監督・脚本・VFXを担当した山崎貴が出席。「『ゴジラ-1.0』の制作にあたって感じたDolby Vision/Dolby Atmosの利点とは」をテーマに、製作の裏側を明かした。

【画像】ゴジラシューズでアカデミー賞に出席した山崎貴監督

 『ゴジラ-1.0』は、戦争で何もかも失った日本にゴジラが襲来するさまを描いた東宝ゴジラシリーズ第30弾。5月1日に発売される4K ULTRA HD Blu-rayには、Dolby Vision版およびDolby Atmos版が収録され、Blu-rayにはDolby Atmos版、DVDにはDolby Digital版がそれぞれ収録される。もともと本作は、Dolby Cinema版(広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するハイダイナミックレンジ=HDR映像を実現する映像システムのDolby Visionと、客席を包み込むような立体的な音響システムのDolby Atmos、そして専用のシアターからなる鑑賞システムのこと)で製作されていた。

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 山崎監督自身、Dolby Cinema版で製作しようとしたきっかけについて「前々からDolby Cinemaでやりたいという思いはあったんですけど、何年か前からACES空間(異なるデバイス間での色の再現性を合わせるために使用されるカラーマネジメントシステムのこと)での映像づくりを研究しているスタッフがいて。映像をつくった後の色調整でも、かなりレンジが広くできるので、これはいい! ということでACES空間で映像をつくっていたんです」と説明する。

 「そしてDolby Cinemaは、その状態でつくればすぐに変換できるということと、音に関してもすぐに対応できる状態でつくっていたものですから。Dolby Cinemaのためにというよりは、そもそものつくり方がDolby Cinemaと相性が良かったということです」

 暗闇に溶け込むようなくっきりとした黒の描写が特徴的であるDolby Cinemaだけあって、効果的だったシーンについて「大戸島で変化する前のゴジラが出てきたところですね」と語った山崎監督。「真っ暗な闇から出てきたときの怖さがありました。基本的に照明がない世界で炎が燃えている時の輝度というか、まぶしい炎の感じなど、夜のシーンが印象的でしたね。もともと夜のシーンはあまりない映画なんですが、大戸島のシーンは、夜の怖さに寄与しているし、バラックなど全体が暗い中でどれだけ階調があるか。つぶれてしまいそうなところにどれだけ階調があるかというところもDolby Cinemaのすばらしいところでしたね」

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 音響についても、ゴジラが歩く音だけが響き渡るエンドクレジットに触れつつ「あそこは文字だけで、あとは純粋に音しか聞こえてこないので、逆に音のすごさみたいなものに、人の気持ちをフォーカスできる。あそこを称賛してくれる人は多かったですね。最後の最後まで怖かったと言ってくれて、観た後の感覚を補強している感じがありました」と付け加えた。

 山崎監督といえば先日、ハリウッド大手のタレントエージェンシー・CAA(クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー)と契約を結んだばかり。「そのことに関して発言するときは、チェックが必要になるで、多くは語れないんです」と前置きしつつも、「だからと言って軸足をアメリカに移すとか、そういうことではなくて、選択肢として海外の仕事も視野に入れられるようになった。その場合はエージェントがいないと仕事がしづらいんです。契約してもらったという感じです。そこでいろんな機会は生まれてくるとは思いますし、何がやれるのかなというのは、これから勉強していかないといけないかなと。そういう機会が手に入ったのだから、トライをしてみて、うまくいくにせよ、そうでないにせよ、ひとつの経験としてそういう方向に進んでみようと思っているということですね」と現在の心境を明かした。

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 またアカデミー賞受賞時の会見で『オッペンハイマー』のアンサー映画を製作したいと発言し、日本でも大きな反響があったことについて「ビックリしましたね」と山崎監督。「あれは『オッペンハイマー』がすばらしかったからです。それに対して日本人はどう考えるのかという日本からの視点も、あのテーマに関しては必要なことだと思います。ただ、ほかの計画もあるので今すぐやれるというわけではないですが、日本で映画をつくる人間として、いつかはやらなくてはいけないテーマのひとつかなと思っています。アイデアはあるので、おいおいやっていけたらと思っています」とその思いを明かしていた。(取材・文:壬生智裕)

『ゴジラ-1.0』Blu-ray&DVDは5月1日発売(4K Ultra HD Blu-ray同梱4枚組:税込12,100円、Blu-ray豪華版:税込9,900円、Blu-ray2枚組:税込6,050円、DVD3枚組:税込4,950円)

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